未経験でも取れる?クラウド資格に挑戦して見えたメリットと限界

学習・スキルアップ

「クラウド資格 未経験」と検索している方の中には、今の仕事とは直接関係のない資格に思えて、勉強する意味があるのか迷っている方も多いのではないでしょうか。私自身、文系・未経験からIT業界に転職してWebエンジニアとして働き始めた頃は、クラウドという言葉を「サーバーがどこかにあるらしい」程度にしか理解しておらず、資格の勉強を始める発想自体がありませんでした。

この記事では、実際にクラウド資格に挑戦してわかった難易度のリアルな感触と、取得して良かったと感じたこと・資格だけでは埋まらなかった限界の両方を、実体験をもとにお伝えします。

この記事でわかること

  • 未経験・開発エンジニアの立場でもクラウド資格に挑戦する意味はあるのか
  • 実際に受けてみてわかった難易度と勉強法のリアル
  • 資格を取って良かったこと・資格だけでは埋まらなかった限界の両方

結論:開発の仕事をしていても、クラウド資格に挑戦する意味はあると感じた

結論から言うと、インフラを専門にしているわけではない開発エンジニアの立場でも、クラウド資格の勉強を通して得られたものは大きかったと感じています。

きっかけは、入社して2年目に差しかかった頃、担当していたシステムの一部を、社内のインフラエンジニアが中心となってクラウドサービスへ移行することになり、開発側の人間である自分もその話についていけないままでは困る場面が増えてきたことです。

ファイルの保存先や、夜間バッチ処理の実行環境をクラウドサービスに置き換えるという会議に同席した際、「バケット」「ロール」「実行環境」といった言葉が飛び交う中、内容の半分も理解できないまま相槌を打つだけになってしまったことがありました。会議の後、以前の記事で紹介したインフラエンジニアの同僚に相談したところ、「開発の実務経験しかなくても挑戦できる入門レベルの資格がある」と教えてもらい、これが勉強を始めたきっかけになりました。

そのため、インフラの専門職に転向する予定がなくても、自分の担当しているシステムがクラウド上で動いている、あるいはこれから移行する予定があるという人には、クラウド資格の勉強は無駄にならないと感じています。

実際に受けてみてわかった、クラウド資格のリアルな難易度と勉強法

実際に挑戦してみると、開発エンジニアとしての実務経験があれば、入門レベルのクラウド資格は特別なインフラ経験がなくても十分に手が届く範囲だったというのが私の実感です。

というのも、この種の資格は「実際に構築・運用する技術力」よりも、「クラウド上にどんなサービスがあり、それぞれ何のために使うのか」という概念的な理解を問う内容が中心になっているためです。

私が挑戦したのは、AWSが提供している入門レベルの認定資格でした。書店で見つけた対策本を1冊購入し、平日は仕事の後に30〜40分、休日にまとめて2時間ほど、合計で1ヶ月半ほどの期間を使って学習しました。基本情報技術者試験は転職に有利?受験して感じたリアルな効果で紹介した基本情報技術者試験のようにアルゴリズムを自分の手で解く問題はほとんどなく、代わりに「大量のデータを長期保存したい場合に向いているサービスはどれか」「複数のサーバーへの負荷を分散する仕組みは何と呼ばれるか」といった、サービスの特徴と用途を結びつける問題が中心でした。対策本の章末についていた模擬問題と、公式サイトが無料で公開している練習問題を繰り返し解いたことで、試験形式には比較的早く慣れることができました。

ただし、実際に問題を解いてみると、ネットワークやセキュリティの基礎用語を知らないと意味が取れない選択肢も一定数ありました。基本情報技術者試験の勉強で触れていた用語がここでも役に立った場面があり、まったくのゼロから始めるより、基礎的なIT用語に一度触れておいた方が学習はスムーズに進むと感じています。

比較する軸 基本情報技術者試験 クラウド資格(AWS認定など)
出題範囲 ITの基礎知識全般(ネットワーク・データベース・アルゴリズムなど) 特定のクラウドサービスの機能・使い分け
試験形式 多肢選択式+擬似言語での記述的な問題 多肢選択式(サービスの用途を問う問題が中心)
実務との直結度 担当分野を問わず土台になる クラウドを使っている(使う予定がある)現場でより直結する
未経験者の難易度体感 暗記量・アルゴリズム部分でやや苦戦 概念中心で暗記量は少ないが、聞き慣れない専門用語が多い

表からもわかる通り、どちらが上位の資格というより、扱っている範囲そのものが異なる資格だと捉えています。

挑戦して良かったと感じた3つの場面

実際に感じた一番の効果は、試験に合格したことそのものより、日々の実務で「置いていかれなくなった」という感覚でした。

勉強する前と後とで、次の3つの場面で自分の立ち位置が明らかに変わったと実感できたからです。

  • 移行の会議で、自分の担当範囲への影響を質問できるようになった場面:以前は「バケット」「ロール」といった単語が出るたびに聞き流していましたが、勉強後は「ファイルの保存先が変わるなら、アプリケーション側のファイルパスの指定方法も見直しが必要になりますよね」と、自分の担当範囲に引きつけて質問できるようになりました。
  • インフラエンジニアの同僚が不在のとき、簡単な状況確認を自分でできた場面:ある日、担当のインフラエンジニアが休暇中に、バッチ処理が動いていないという問い合わせが来たことがありました。以前なら手も足も出ませんでしたが、管理画面にログインしてログを確認し、「設定した実行時間の指定を間違えているだけ」という初歩的な原因までは自分で切り分けることができ、担当者の復帰を待たずに社内への報告だけは済ませられました。
  • 評価面談で、担当外の分野への学習意欲として言及してもらえた場面:上長との面談で、「開発以外の領域にも興味を持って学習している姿勢はいいと思う」と話してもらえたことがありました。資格そのものより、担当外の領域にも関心を向けて学び続ける姿勢を見てもらえたのだと感じています。

資格だけでは埋まらなかった、実務とのギャップ

正直に言うと、クラウド資格に合格しても、実際にインフラを構築・運用できるようになったわけではありません。

今回挑戦した入門レベルの資格が、サービスの用途や特徴を問う内容が中心で、実際に管理画面や設定ファイルを操作して構築する技術力までは問われていなかったためです。

資格取得後、個人の学習用に、以前の記事で紹介した家計簿アプリのポートフォリオを、自分でクラウド上に置いてみようと試したことがあります。ところが、外部からのアクセス権限の設定でつまずき、参考書に書かれていた説明通りに設定したつもりでも、うまくアクセスできない状態が続きました。結局、インフラエンジニアの同僚に画面を見せながら教えてもらい、権限の範囲を絞り込む設定が1箇所抜けていたことがわかって解決しました。概念を理解していることと、実際に手を動かして構築できることの間には、想像していたより距離があると痛感した出来事です。

そのため、クラウド資格を取ったからといって、インフラエンジニアの仕事がすぐにできるようになるわけではなく、あくまで「会話についていける・大まかな仕組みを理解できる」ところまでの資格だと捉えておいた方が、期待とのギャップを感じずに済むと思います。

未経験のうちに挑戦すべき?入社後の方がいい?判断の目安

未経験の段階でクラウド資格に挑戦する優先度は、目指す職種によって変わるというのが私の考えです。

開発エンジニアとインフラエンジニアとでは、転職活動の段階で評価される実務スキルの中身がそもそも異なるからです。

私自身は開発エンジニアとして転職したため、転職活動中はクラウド資格よりも、資格は意味ない?未経験IT転職で実務スキルより優先すべきことで紹介した通り実務に近いスキルの習得を優先しました。クラウド資格に挑戦したのは、入社して実務に慣れ、担当しているシステムがクラウドサービスと関わり始めてからのことです。

状況 優先度の目安 理由
インフラエンジニア・クラウドエンジニアとしての転職を目指している 転職活動中から検討する価値あり 求人の応募条件で歓迎されるケースがあり、専門分野への関心を示す材料になるため
開発エンジニアとして転職を目指しているが、応募先がクラウドを使っている 転職活動中は無理に急がなくてよい 選考で問われるのは実務に近い開発スキルが中心になりやすいため
入社後、担当システムがクラウドに関わり始めた 入社後に必要性を感じてから検討で十分 実務で使う場面が具体的に見えてから学ぶ方が、知識が定着しやすいため
特にクラウドに関わる予定がない 無理に取得しなくてよい 使う機会がないまま知識だけ持っていても、実務に結びつきにくいため

表の通り、私のように開発エンジニアとして転職した場合は、転職活動中よりも、実際に担当システムとクラウドとの関わりが見えてきてから挑戦する方が、学んだ内容をすぐに実務で確認できる分、身につきやすいと感じています。

まとめ

ここまで、未経験・開発エンジニアの立場からクラウド資格に挑戦してわかったことをお伝えしてきました。

  • クラウド資格は、インフラの専門職でなくても、担当システムがクラウドに関わっているなら挑戦する意味がある
  • 入門レベルの資格は、実務経験があれば未経験からでも手が届く範囲だが、基礎的なIT用語への慣れは学習をスムーズにする
  • 資格を取って良かったのは、会議についていける・簡単な状況確認が自分でできる・学習意欲を評価してもらえたという3つの場面
  • 一方で、概念を理解していることと実際に構築できることの間には距離があり、資格だけでインフラの実務ができるようになるわけではない
  • 転職活動中に無理に取得を急ぐより、実務でクラウドとの関わりが見えてきてから挑戦する方が学びが定着しやすい

クラウド資格に合格すれば必ず評価が上がるとは言い切れませんが、担当外の分野に関心を持って学び続ける姿勢自体は無駄にはならないというのが、実際に挑戦してみての実感です。基本情報技術者試験に挑戦したときの学習の進め方や、資格と実務スキルどちらを優先するかの考え方については、以前の記事でも詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。

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