「ITパスポート 転職」と検索した方の多くは、これから未経験でIT業界を目指すにあたって、この資格を取っておくべきかどうかで迷っているのではないかと思います。ネット上には「取っても意味がない」という意見と、「基礎知識の証明になる」という意見の両方があり、どちらを信じればいいのか判断しづらいテーマでもあります。
私自身、文系・未経験からIT業界に転職する過程で、ITパスポートの入門書を読んで基礎知識に触れた経験は以前の記事でも紹介しました。ただ、当時は資格そのものを取得していたわけではなく、実際に受験して取得したのは、転職してからしばらく経ってからのことです。この記事では、なぜそのタイミングで受験することにしたのか、実際に取得してみてどう感じたのか、そして今から転職活動をする人が先に取っておくべきなのかを、実体験をもとに正直にお伝えします。
この記事でわかること
- ITパスポートは未経験のIT転職で本当に役立つのか
- 転職活動中と入社後、それぞれのタイミングで資格がどう影響したか
- これから転職活動をする人が、今からITパスポートを取っておくべきかの判断基準
転職の決め手にはならなかったが、取って良かったと感じている
先に結論からお伝えすると、ITパスポートという資格そのものが転職の合否を左右したという実感はありません。ただし、取得したこと自体を後悔してはおらず、むしろ取っておいて良かったと感じているというのが正直なところです。
理由は、これまでの転職活動を振り返っても、企業側が知りたがっていたのは「資格を持っているかどうか」よりも「学習を自分から続けられる人かどうか」だったからです。この点は以前の記事でも触れましたが、資格の有無を尋ねられた面接でも、話が深掘りされたのは学習の中身そのものでした。
だからこそ、この記事で紹介するITパスポートの取得は「転職を有利にするための資格」というより、「転職してからの自分にとって意味があったかどうか」という視点で読んでいただくのが実情に近いと思います。
転職活動中は「入門書を読んだ話」だけで乗り切っていた
まず正直にお伝えしておきたいのは、転職活動をしていた期間中、私はITパスポートを取得していませんでした。当時は限られた学習時間を、資格の勉強よりも実務に近いスキルの習得(学習の記録や簡単な成果物づくり)に優先して振り分けるという方針を取っていたためです。この判断の詳しい経緯は、資格は意味ない?未経験IT転職で実務スキルより優先すべきことで紹介した通りです。
ITパスポート向けの入門書自体は、プログラミングの勉強を始める前の段階で一度読んでいました。ただしこれは資格取得を目的にしたものではなく、コンピュータやネットワークの全体像をざっくり把握するための読み物としての位置づけでした。実際の面接でも「何かIT関連の勉強はしていますか」と聞かれた際、この入門書で学んだ内容を自分の言葉で説明する形で答えており、資格を持っている前提で話したことは一度もありません。
それでも選考が先に進んだ経験があることを踏まえると、資格そのものよりも「自分から学ぼうとする姿勢が伝わるかどうか」の方が重視されていたのだろうと、当時から感じていました。この記事で紹介する受験・取得は、すべて転職してから後の出来事です。
入社してからあえてITパスポートを受けようと思ったきっかけ
転職してから数ヶ月ほど経った頃、あえてITパスポートを受験することにしました。きっかけは、入社後の打ち合わせで感じた小さな置いてけぼり感です。
理由は、実務に入ってからは、開発チーム内の技術的な会話だけでなく、企画担当者や営業担当者を交えた打ち合わせに同席する機会が出てきたからです。あるとき、新しい社内システムの導入検討にまつわる打ち合わせに参加した際、費用対効果やシステム導入の進め方についての話が中心になり、以前読んだ入門書の記憶をたどっても、ネットワークやセキュリティの用語ばかりが浮かんで、経営やIT戦略に関する言葉にはほとんど心当たりがないことに気づきました。
会社にちょうど資格取得を後押しする制度があったこともあり、「入門書で一度触れた範囲を、今度はきちんと問題を解く形で学び直してみよう」と思い立ち、ITパスポートの受験を決めました。資格を取ること自体が目的というより、抜けている分野を洗い出すための区切りとして活用した形です。
受けてみて分かった、入門書を読んだだけでは足りなかったところ
実際に問題集を解き始めてみると、入門書を読んだときには「理解したつもり」になっていた分野ほど、点数が伸びないことに気づきました。
特に苦戦したのは、経営戦略やマネジメント、法務・知的財産といった、いわゆるストラテジ系の分野です。ネットワークやセキュリティの基礎はプログラミング学習と重なる部分があり比較的すんなり頭に入りましたが、経営指標の計算や契約・著作権に関する分野は、入門書を読んだだけの状態ではほぼ知識が残っておらず、問題集を解きながら一つずつ覚え直す必要がありました。試験自体は多肢選択式のみで構成されたCBT方式の試験で、記述式の問題やプログラムの読み解きが出題される試験とは形式が異なる分、範囲の広さで苦労した実感があります。
学習期間は、平日の隙間時間と休日の数時間を使って、私の場合は3週間ほどでした。以前紹介した資格の中では、比較的短い期間で一区切りつけられた資格だったと感じています。
| 受ける前に想像していたこと | 実際に受けてみて感じたこと |
|---|---|
| 入門書を読んだことがあるから、復習程度ですぐ受かるはず | ストラテジ系の分野は記憶にほとんど残っておらず、問題集での学び直しが必要だった |
| 資格を取れば社内での評価が変わるかもしれない | 取得したこと自体を特に話題にされることはなく、評価に直結する実感はなかった |
| 技術系の知識ばかりが問われる試験だと思っていた | 経営・法務・知的財産など、非エンジニアとの会話で使う分野の比重も大きかった |
資格を取ってから振り返って感じた、転職活動中には気づけなかったこと
ITパスポートを取得してから、当時の転職活動を振り返ってみると、以前の記事で紹介した「資格より学習姿勢が重視されていた」という実感の裏付けが取れたように感じています。
理由は、実際に資格を取ったあとも、社内で資格の有無そのものを話題にされる場面はほとんどなかったからです。上司や同僚から「資格を取ったんですね」と一言声をかけられたことはありましたが、それ以上に業務内容や評価に影響した実感はありません。一方で、取引先とのやり取りで契約書や著作権にまつわる話題が出た際、以前なら聞き流していたであろう用語に心当たりがあり、落ち着いて会話についていけたことがありました。これは資格の合否そのものというより、学び直したストラテジ系の知識が地味に効いた場面だったと感じています。
正直なところ、日々のコーディング業務そのものにITパスポートの知識が直接必要になる場面はほとんどありません。転職の合否を分けるような効果や、実務の中核を支えるような効果を期待すると、期待外れに感じる可能性はあると思います。
今から転職活動をするなら、先に取っておいた方がいいのか
ここまでの実体験を踏まえると、「転職活動中に無理をしてでも先に取っておくべきか」という問いへの答えは、状況によって変わるというのが正直なところです。
実務に近いスキルの習得を優先すべきだという以前の記事の結論自体は変わりません。ただし、ITパスポートは基本情報技術者試験のように数ヶ月単位の学習期間を必要とする資格ではなく、入門書に一度目を通した程度の土台があれば、数週間ほどの学習で一区切りつけられる資格でもあります。この学習量の軽さを踏まえると、実務スキルの学習に一定のペースができてから、隙間時間で並行して取り組む余地はあると思います。
- 学習を始めたばかりで右も左もわからない人:資格取得を急がず、まずは入門書などの読み物でIT全体の輪郭をつかむ段階で十分だと感じます。
- 実務スキルの学習にある程度慣れ、時間に余裕が出てきた人:形に残る目標として、ITパスポートの受験を検討する価値はあると思います。
- 転職活動そのものが佳境で時間に余裕がない人:資格取得よりも、応募書類や面接対策など実務スキル側の準備を優先した方がよいと感じます。
基本情報技術者試験など、さらに専門性の高い資格への挑戦については、基本情報技術者試験は転職に有利?受験して感じたリアルな効果で実体験をもとに詳しく紹介しています。ITパスポートはあくまで、その手前にある基礎固めの一区切りとして位置づけるくらいがちょうどいいと考えています。
まとめ
ここまで、ITパスポートが未経験のIT転職に本当に役立ったのかについて、実体験をもとにお伝えしてきました。
- 転職活動中は資格を取得しておらず、入門書で学んだ内容を説明することで選考を乗り切っていた
- 実際に取得したのは転職してから数ヶ月後で、打ち合わせで感じた知識の抜けをきっかけに受験を決めた
- 入門書を読んだだけでは、経営戦略や法務などストラテジ系の分野は記憶に残っておらず、学び直しが必要だった
- 資格そのものが転職や評価を直接左右した実感はないが、取引先との会話で落ち着いて対応できた場面はあった
- 学習量が軽い資格なので、実務スキルの学習にペースができた段階で並行して取り組む選択肢はある
「取得して意味があったか」と聞かれれば、転職の決め手としての効果は感じていないものの、自分の知識の抜けに気づき、学び直すきっかけになったという意味では、取って良かったと感じています。資格と実務スキルどちらを優先すべきかの考え方や、より専門性の高い資格への挑戦については、以前の記事や別の記事でそれぞれ詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。


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