「志望動機」の欄を前にして、パソコンの画面を見つめたまま手が止まってしまう——文系・未経験からIT業界を目指していたころの私自身、何度もこの状態になりました。「熱意を伝えましょう」と言われても、具体的に何をどう書けば採用担当に伝わるのか、テンプレートをそのまま埋めるだけでは自分の言葉になっている気がしない、そんなもどかしさを抱えていた方は多いのではないでしょうか。
職務経歴書全体の書き方は未経験からのIT転職、職務経歴書はここを書けば通過率が上がるで、面接で実際に聞かれた質問への答え方は未経験からのIT転職、面接で本当に聞かれた質問と答え方のコツでそれぞれ扱っているため、この記事では「志望動機」という1つの文章をどう組み立てるかに絞って、私が実際に書いていた文章の実例とあわせて紹介します。
この記事でわかること
- 未経験の志望動機で、採用担当が実際にどこを見ているか
- 私が使っていた志望動機の型と、実際に書いていた文章の実例
- 応募する企業ごとに、どこを差し替えていたか
そもそも、未経験の志望動機で採用担当は何を見ているのか
結論から言うと、「なぜIT業界なのか」だけでなく「なぜ今なのか」「なぜこの会社なのか」までがワンセットで見られていると感じています。
未経験者の志望動機は、経験者以上に「本気度」や「定着してくれそうか」を判断する材料として重視されやすいと、転職エージェントとの面談の中で聞いたことがあります。スキルで判断しづらい分、志望動機の中身で覚悟や解像度を測られている、という説明でした。
実際、私が最初に書いた志望動機をエージェントに見てもらったとき、「内容自体は悪くないが、これだと他のIT企業に出しても通用してしまう文章になっている。この会社である理由が見当たらない」と指摘されたことがあります。自分では熱意を込めて書いたつもりでしたが、読み返すとたしかに「成長できる環境に魅力を感じた」という、どの求人票にも当てはまりそうな言葉で終わっていました。
この指摘を受けてから、志望動機には「IT業界に興味を持った理由」だけでなく「数ある会社の中でここを選んだ理由」までセットで書く必要があると考えるようになりました。
私が使っていた志望動機の型「なぜIT×なぜこの会社×どう関わりたいか」
結論として、私は次の3つの要素を3文程度にまとめる型を使うようにしていました。
- 前職での経験や気づきから、IT業界に興味を持つに至った理由
- 数ある会社の中で、その会社を選んだ固有の理由
- 入社後、どんな業務から関わり、何を活かしていきたいか
白紙の状態から「熱意が伝わる文章」を考えようとすると、どうしても抽象的な言葉に頼ってしまう場面が何度もありました。あらかじめこの3つの要素を埋める、という型を決めておくことで、何を書けばいいか毎回悩まずに済むようになったというのが、型を使い始めた理由です。
特に効果を感じたのは、2つ目の「その会社を選んだ固有の理由」を先に空欄のまま残し、他の2つを書き終えてから最後に企業研究をして埋めるという順番です。先に全体の骨格を作っておくことで、企業ごとに差し替える部分が明確になり、応募のたびにゼロから文章を考え直す必要がなくなりました。
実例:添削される前の志望動機と、書き直した後の志望動機
結論として、抽象的な言葉を具体的な事実に置き換えるだけで、文章の説得力はかなり変わると感じています。
先ほど触れた、エージェントに指摘される前の文章は、次のようなものでした。
添削前:「私はIT業界に将来性を感じ、貴社の成長環境に魅力を感じたため志望いたしました。未経験ではありますが、持ち前の学習意欲を活かして早期に貢献できるよう努力いたします。」
これを、前職の具体的な経験と、求人票で見つけた情報をもとに書き直したものが次の文章です。
添削後:「前職では複数の部署をまたぐ調整業務を担当する中で、業務の流れを仕組みで支える仕事に興味を持つようになり、独学でプログラミングの基礎を学びながらIT業界への転職を決意しました。貴社を志望した理由は、求人票で紹介されていた『少人数のチームで要件定義から運用まで一貫して担当する開発体制』に触れ、前職での調整経験を早い段階から活かせる環境だと感じたためです。入社後は、まず既存システムの保守業務を通じて技術を身につけながら、将来的には前職の経験を活かした業務改善の提案にも関わっていきたいと考えています。」
2つを見比べると、どこが変わったかがわかりやすいように、観点ごとに整理してみます。
| 観点 | 添削前の書き方 | 書き直した後の書き方 |
|---|---|---|
| なぜIT業界か | 「将来性を感じた」という抽象的な理由のみ | 前職の具体的な業務経験から生まれた興味に紐づけている |
| なぜこの会社か | 「貴社の成長環境」というどの会社にも当てはまる表現 | 求人票にあった固有の情報を一文で具体的に引用している |
| どう貢献するか | 「学習意欲を活かして努力します」という気持ちの表明のみ | 入社後にどの業務から関わりたいかを具体的に描写している |
この書き方に変えてから、書類選考を通過する割合が上がったと実感していますが、これはあくまで私の場合の実感であり、同じ書き方をすれば必ず通過するというものではありません。それでも、抽象的な言葉を具体的な事実に置き換えるという方向性自体は、多くの場面で応用できると感じています。
応募企業ごとに差し替えていた「なぜこの会社か」の1文の作り方
結論として、私は志望動機のすべてを企業ごとに書き直すのではなく、「なぜこの会社か」の一文だけを差し替えるようにしていました。
未経験からの転職活動では、書類選考の通過率がまだ読めない段階でどうしても応募数を増やす必要があり、毎回すべてを一から書き直す時間の余裕がありませんでした。かといって全社に同じ文章を使い回すと、先ほどのエージェントの指摘のとおり「どの会社にも出せる文章」になってしまいます。そこで、骨格は共通のまま、企業固有の一文だけを差し替えるという方法に落ち着きました。
差し替える一文の材料は、応募前に必ず企業の採用ページか求人票を読み込んで探すようにしていました。ある企業では、求人票の「使用技術」の欄に古い言語だけでなく比較的新しいフレームワークの名前が併記されているのを見つけ、「今の技術を使いながら段階的に新しい技術も取り入れている環境に興味を持った」という一文にしました。別の企業では、採用ページのインタビュー記事に「レガシーシステムのリプレイスに取り組んでいる」という記述があり、その内容に触れる一文を差し込みました。
数分の企業研究で見つけた一文でも、そこに触れるだけで「この会社の求人をきちんと読んだうえで応募している」という印象を持ってもらいやすくなったと感じています。
未経験だからこそ避けていた志望動機の言い回し
結論として、「安定していそうだから」という理由だけを前面に出す書き方は避けるようにしていました。
ある面接で、「なぜIT業界を安定していると思ったのか」と踏み込んで聞かれ、うまく答えられなかったことがあります。待遇や将来性への期待自体は自然な動機だと思いますが、それだけを理由にすると「入社後、環境に受け身なままなのではないか」という印象につながりかねないと、このとき初めて実感しました。
それ以降は、待遇面への期待に触れる場合でも、必ず「その環境で自分は何をしたいか」という能動的な一文をセットで添えるようにしました。たとえば「勤務地や働き方の自由度に惹かれた」という理由を書くときも、そこで終わらせず「自由度のある働き方の中で、腰を据えて技術を伸ばしていきたい」というように、自分がどう関わっていきたいかまで書き加えるようにしています。
まとめ
ここまで、未経験からのIT転職で私が実際に使っていた志望動機の型と実例を紹介してきました。
- 採用担当は「なぜIT業界か」だけでなく「なぜこの会社か」までセットで見ている
- 「なぜIT×なぜこの会社×どう関わりたいか」の3要素を型として使うと書きやすい
- 抽象的な言葉を、前職の具体的な経験や企業研究で見つけた事実に置き換えると説得力が変わる
- 企業ごとにすべて書き直すのではなく、「なぜこの会社か」の一文だけを差し替えると効率的
- 待遇面への期待だけで終わらせず、自分がどう関わりたいかまで書き添える
志望動機は一度書いて終わりではなく、応募する企業ごとに少しずつ手を入れていくものだと感じています。書いた志望動機を面接でどう深掘りされたかについては別の記事でも紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。


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