「インフラエンジニア とは」と検索してこの記事にたどり着いた方は、求人サイトや職種紹介の記事で名前を見かけたものの、「サーバーとかネットワークを扱う仕事らしいけれど、具体的に毎日何をしているのかがイメージできない」という段階かもしれません。プログラマーやSEに比べて、仕事内容が目に見えにくい職種だと感じている方も多いのではないでしょうか。
私自身、転職活動でインフラエンジニアの求人も比較検討したことがあります。当時は「サーバーやネットワークの知識が必要」という漠然としたイメージしかなく、求人票を読んでも「構築」「運用」「保守」「監視」といった言葉が並ぶだけで、それぞれが具体的にどんな作業を指すのかピンときませんでした。現在はWebエンジニアとして働いていますが、社内のインフラエンジニアと日常的にやり取りする中で、当時よりも仕事内容の輪郭がはっきり見えるようになってきました。
この記事では、その転職活動での比較検討と、現在の職場でインフラエンジニアと関わってきた経験をもとに、インフラエンジニアの仕事内容を未経験者向けに整理して紹介します。「狙い目の職種かどうか」という選び方の話は未経験からIT転職するなら狙いたい職種5選に譲り、この記事では「インフラエンジニアとは何をする仕事なのか」という中身にしぼってお伝えします。あわせて、開発側から一緒に働いていて感じる、この仕事のやりがいと大変さについても紹介します。
この記事でわかること
- インフラエンジニアの仕事内容を、工程ごとに具体的にイメージできるようになる
- インフラエンジニアにもいくつかの種類があり、それぞれ扱う対象が違うことがわかる
- 未経験者が最初に関わることが多い業務の実態と、必要になりやすいスキルがわかる
- インフラエンジニアのやりがいと、当番制など開発職とは違う大変さの両面がわかる
インフラエンジニアとは:一言でいうと
インフラエンジニアとは、サーバー・ネットワーク・クラウド環境など、システムやサービスが動くための土台を構築し、安定して稼働し続けるように運用する仕事です。
Webサービスやアプリケーションは、プログラマーやSEが作ったプログラムだけで動いているわけではなく、そのプログラムを実際に動かすサーバーや、利用者とサーバーをつなぐネットワークがあって初めて成立します。この「土台」の部分を専門に担当するのがインフラエンジニアです。
転職活動中、あるインフラエンジニアの求人票の業務内容欄に「Linuxサーバーの構築・運用」「AWS環境の設計・保守」「社内ネットワークの構築・監視」といった項目が並んでいたのを見て、開発職とはまったく違う専門分野があることをそのとき初めて具体的に意識しました。プログラマーやSEが「何を作るか」を担当するのに対し、インフラエンジニアは「それをどこでどう動かすか」を担当する、という違いで捉えると理解しやすいと感じています。
インフラエンジニアの仕事内容を4つの工程で見ると
インフラエンジニアの仕事は、大きく「要件定義・設計」「構築」「運用・保守」「監視」の4つの工程に分けられます。担当する工程によって、求められる経験や日々の業務内容がかなり異なります。
- 要件定義・設計:想定される利用者数やアクセス数、障害が起きたときにどう切り替えるかといった要件を整理し、サーバーやネットワークの構成を設計する
- 構築:設計した内容にもとづいて、実際にサーバーやネットワーク機器を設定し、環境を作り上げる
- 運用・保守:構築した環境を安定して動かし続けるため、ソフトウェアのバージョンアップやセキュリティ対応、日常的なメンテナンスを行う
- 監視:システムが正常に動作しているかを常に確認し、異常が発生した際にアラートを受けて対応する
今の職場には専任のインフラエンジニアが在籍しており、私たちWebエンジニアが開発した機能を本番環境にリリースする前には、そのインフラエンジニアがサーバーのリソースを確認し、必要に応じてスケールアップの設定や監視ツールのアラート閾値の調整を行ってくれています。以前、あるキャンペーンでアクセス数が急増した際、事前にインフラエンジニアがサーバーの増強を準備してくれていたおかげで大きな遅延なく乗り切れたことがあり、開発側からは見えにくいところで土台を支えてくれている仕事なのだと実感した出来事でした。
インフラエンジニアの主な種類
インフラエンジニアと一括りに言っても、実際には扱う対象によっていくつかの種類に分かれています。求人票では「インフラエンジニア」という同じ職種名でも、企業によって中心となる領域が違うことがあります。
| 種類 | 主に扱う対象 | 仕事のイメージ |
|---|---|---|
| サーバーエンジニア | サーバー(OS・ミドルウェア) | サーバーの構築・設定、ソフトウェアのインストールや更新 |
| ネットワークエンジニア | ネットワーク機器 | ルーターやスイッチの設定、社内外の通信環境の構築 |
| クラウドエンジニア | クラウドサービス(AWSなど) | クラウド上でのサーバー・ネットワーク環境の設計・構築 |
| データベースエンジニア | データベース | データベースの設計・チューニング、バックアップ体制の構築 |
転職活動で求人を比較していたとき、ネットワーク機器の設定を中心とした求人と、AWSなどのクラウド環境の構築を中心とした求人があり、同じ「インフラエンジニア」という職種名でも仕事内容がかなり違うことに戸惑った記憶があります。後日、社内のインフラエンジニアにこの疑問を聞いてみたところ、「昔は自社でサーバーを保有する形が主流だったが、最近はクラウドサービスを使う会社が増えていて、クラウドエンジニアと呼ばれるポジションの求人が増えている」と教えてもらい、業界の傾向として理解が深まりました。求人を見るときは、職種名だけでなく、業務内容欄に書かれている具体的な技術名(サーバー/ネットワーク機器/AWSなどのクラウドサービス名)まで確認すると、実際の仕事内容とのズレを防ぎやすいと感じています。
未経験者はどの工程から関わることが多いか
未経験からインフラエンジニアを目指す場合、最初から設計や構築を任されるケースは少なく、多くは「運用・監視」の工程からキャリアをスタートすることになります。
理由は、運用・監視の業務は、あらかじめ用意された手順書に沿って状況を確認し、異常があれば決められた対応を取るという形で始めやすく、設計・構築のように体系的な知識や実務経験を前提としない求人が多いからです。
社内のインフラエンジニアに、未経験からこの仕事に入った人はどんな業務からスタートするのか聞いたことがあります。その方の説明では、最初は監視ツールのアラートを受けて手順書通りに一次対応をする、あるいは決まったログを確認して異常の有無を報告するといった業務が中心で、そこで基本的な用語やシステムの構成に慣れてから、少しずつ簡単な設定変更や小規模な構築案件に加わるようになっていく、という流れが一般的だと教えてもらいました。いきなり大規模なシステムの設計を任されるわけではなく、段階を踏んでいく仕事だと理解しています。
インフラエンジニアのやりがい
インフラエンジニアのやりがいは、「動いていて当たり前」の状態を自分の手で支えている実感と、知識を積み上げた分だけ任される範囲が確実に広がっていくことにあると、社内のインフラエンジニアと一緒に働いていて感じます。
理由は、インフラの仕事の成果が、新機能のような目に見える形ではなく、「障害が起きなかった」「遅くならなかった」という、何も起きていない状態として表れるからです。裏を返せば、利用者が普段まったく意識しない部分を、自分の設計と判断で成立させているということでもあります。
先ほど、キャンペーンでアクセスが急増した際に、事前のサーバー増強で大きな遅延なく乗り切れた出来事を紹介しました。あのとき開発側の私たちは「特に何も起きなかった」という認識で終わったのですが、後日その話題になったとき、担当していたインフラエンジニアが「何も起きなければ成功なので、それでいい」と話していたのが強く印象に残っています。開発の仕事は、作った機能が動いて初めて成果として見えるのに対し、インフラの仕事は何事もなく終わったことそのものが成果になる。同じシステムに関わっていても、成果の表れ方がまったく違う職種なのだと、そのとき理解しました。
また、以前、週末に本番環境のサーバーで負荷が急上昇するトラブルが発生したことがありました。復旧報告のあと、担当したインフラエンジニアが「今回はこの設定を見直そう」と再発防止の対応まで淡々と進めていき、結果として同じ原因の障害はその後起きていません。対応そのものは負担の大きい作業ですが、原因を突き止めて二度と起きない状態まで持っていける点は、この仕事のやりがいが最もわかりやすく表れる場面ではないかと感じています。
開発側から見ていて、やりがいにつながっていると感じる要素を整理すると、次のようになります。
- サービスの土台を任されている責任の大きさ:設定一つでサービス全体の安定性が変わる
- 専門性を社内で頼られる:開発側が踏み込めない領域のため、判断を委ねられる場面が多い
- 知識が対応範囲に直結する:学んだ分だけできることが増え、成長を実感しやすい
- 障害を根本から潰せる:再発防止まで踏み込むことで、目に見える改善として残る
社内のインフラエンジニアが「派手さはないが、知識が身についた分だけ確実にできることが増える仕事」と話していたことがあり、この言葉がやりがいの部分をよく表しているように思います。一方で、こうしたやりがいは、次に紹介する負担と表裏の関係にあります。求人を検討する際は、両方を見たうえで判断することをおすすめします。
インフラエンジニアの大変さ:当番制・オンコール対応
インフラエンジニアは、24時間365日の安定稼働を求められる分、開発職とは違う種類の負担があります。
システムは基本的に止まらないことが前提とされるため、障害はいつ起きるかわかりません。そのため、企業によっては夜間・休日の当番制(オンコール対応)を設けているところもあり、勤務時間外でも障害が発生すれば対応が必要になる場合があります。
先ほど触れた週末のトラブルのときは、当番だったインフラエンジニアが休日にもかかわらずアラートを受けて対応にあたっていました。原因が特定されて復旧するまでの間、チャットで状況共有が続いていたのですが、コードの不具合を直すときとはまた違う緊張感があるのだろうと感じた出来事です。求人を比較する際は、給与や仕事内容だけでなく、当番制の有無やシフト体制についても確認しておくことをおすすめします。
インフラエンジニアに向いている人・求められるスキル
インフラエンジニアには、地道な作業をコツコツと継続できる姿勢と、手順やルールを正確に守る几帳面さが求められる傾向があります。加えて、OSやネットワークの基礎知識、コマンド操作への抵抗のなさも重要です。
理由は、サーバーやネットワークの設定は、手順を一つ間違えると多くの利用者に影響する可能性があるため、決められた手順を正確にこなす力が実装のスピードよりも重視されやすいからです。また、日々の運用・監視業務は、華やかな新機能を作る仕事とは違い、同じ確認作業を淡々と繰り返す時間も多くなります。
社内のインフラエンジニアは、業務の合間にネットワークやクラウドに関する資格の勉強をしていると話していたことがあります。先ほど紹介した「知識が身についた分だけできることが増える」という感覚は、裏を返せば、学び続けることが前提の仕事だということでもあります。コードを書いて動きを目に見える形で確認できる開発の仕事とは違う、地道な積み重ねを楽しめるかどうかが向き不向きを分けるのではないかと感じています。
まとめ
ここまで、インフラエンジニアの仕事内容について、転職活動での求人比較と、現在の職場でインフラエンジニアと関わってきた経験をもとに紹介してきました。
- インフラエンジニアは、サーバー・ネットワーク・クラウド環境などシステムの土台を構築・運用する仕事
- 仕事内容は「要件定義・設計」「構築」「運用・保守」「監視」の4工程に分けられ、担当する工程によって求められる経験が異なる
- サーバー・ネットワーク・クラウド・データベースなど、扱う対象によっていくつかの種類があり、求人票の技術名まで確認することが大切
- 未経験者は「運用・監視」の工程からキャリアをスタートし、段階を踏んで構築業務に関わっていくケースが多い
- やりがいは「何も起きていない状態」を支えている実感と、知識を積んだ分だけ任される範囲が広がっていくことにある
- 地道な作業を続けられる姿勢や正確さが求められる一方、当番制など開発職とは違う負担がある点も確認しておきたい
混同されやすい社内SEとの違いが気になる方は、社内SEとは?仕事内容と未経験転職で確認したいポイントもあわせてご覧ください。
インフラエンジニアの仕事内容がイメージできたら、実際の求人票の業務内容欄を読み比べながら、自分が興味を持てそうな工程や種類がどこにあるかを探ってみることをおすすめします。

