会社選びの基準で後悔しないための未経験IT転職・入社先の決め方

会社選び・注意点

求人票の読み方も、ブラックな求人の見分け方も、SESという働き方の仕組みも、ひととおり調べて理解したつもりでも、実際に内定が出た瞬間や、複数の企業を比較して1社に絞り込むタイミングになると、「結局、何を一番の決め手にすればいいのか」がわからなくなることがあるのではないでしょうか。調べれば調べるほどチェックすべき項目が増えていき、すべてを完璧に満たす会社などなかなか見つからないという現実に直面することもあると思います。

私自身、転職活動の終盤で複数の企業から内定・内定に近い返事をもらい、いざ1社に絞り込む段階になったとき、それまで積み重ねてきたチェックリストの中のどの項目を優先すべきか、正直かなり迷いました。求人票は問題なくても面接での回答に引っかかる会社、給与は魅力的でも研修体制の説明が曖昧な会社など、すべての基準がきれいに揃う会社には出会えませんでした。

この記事では、そのときに私が実際に使った「会社選びの基準を優先順位づけて比較する」という考え方を、5つの基準として整理して紹介します。それぞれの基準の詳しい確認方法は別の記事で個別に紹介しているので、この記事では「どの基準を、どの順番で、どう重視すべきか」という意思決定そのものに絞ってお伝えします。

この記事でわかること

  • 会社選びで確認すべき5つの基準と、その優先順位
  • 基準同士が食い違ったときに、何を軸に判断すればいいか
  • 複数の内定・候補を比較して、私が最終的に下した判断

なぜ「優先順位」を決めておく必要があるのか

結論から言うと、会社選びの基準は数が多いほど良いわけではなく、あらかじめ優先順位を決めておかないと、いざというときに判断に迷ってしまいます。

理由は、実際に複数の企業を比較すると、すべての基準を満たす会社にはほとんど出会えず、どこかで基準同士がぶつかる場面が必ず出てくるからです。給与は高いが研修体制の説明が曖昧、逆に研修は手厚いが勤務地の融通が利かない、というように、良い面と気になる面が同居している会社がほとんどでした。

私自身、転職活動の初期に求人票のチェックリスト・面接での質問リストをかなり細かく作っていたのですが、いざ内定が重なったときにそのリストを見返しても、「どれも大事そうに見えて、結局どれを優先すればいいのか」が決められず、決断が数日先延ばしになったことがあります。このとき初めて、チェックリストの「数」よりも「優先順位」が決め手になるのだと実感しました。

ここから紹介する5つの基準は、私が実際に優先順位をつけ直した結果の並び順です。上にあるものほど、後から取り返しがつきにくい、あるいは日々の働き方そのものを左右する基準だと考えています。

基準1:雇用形態・契約形態が、説明されている働き方と一致しているか

結論、最も優先して確認すべきなのは、求人票に書かれた「自社開発」「受託開発」「未経験歓迎、自社内でのシステム開発」といった説明と、実際の雇用形態・勤務先が一致しているかという点です。

理由は、この基準がずれていると、給与や研修体制がどれだけ良く見えても、日々働く場所や指揮命令系統そのものが説明と違ってしまい、他の基準を確認する前提そのものが崩れてしまうからです。自社開発だと思って入社したら実は客先常駐が中心だった、社内SEだと思ったら雇用元と勤務先が別のSES企業だった、というケースは、以前の記事でも紹介した通り、私自身の転職活動でも実際に経験しました。

複数の内定・候補を比較していた最終段階でも、この基準を最初に確認するようにしていました。当時、今の勤務先とは別に、もう1社(ここでは仮にB社とします)からも内定に近い返事をもらっていたのですが、B社の求人票には「自社開発中心」と書かれていたものの、最終面接で「案件によっては提携先のオフィスに常駐してもらうこともある」という説明を受けました。求人票の表記と実際の働き方に幅があることがその場で分かり、この時点でB社への評価を一段階下げました。

雇用形態・契約形態は、後から給与交渉や配属希望で覆せるものではないため、複数の候補を比較する際は、まずこの一致度から確認することをおすすめします。詳しい見分け方は別の記事で紹介しています。

基準2:「未経験歓迎」の言葉どおりに、研修・配属の説明ができるか

2つ目の基準は、「未経験歓迎」という言葉に見合うだけの研修・配属の説明を、企業側が具体的にできるかという点です。

理由は、未経験者を本当に育てる前提の会社ほど、研修期間・内容・配属の決め方を具体的に説明できる一方、「未経験歓迎」を採用のハードルを下げる文言として使っているだけの会社は、この部分の説明が曖昧になりやすいと感じているからです。この見極め方自体は以前の記事で詳しく紹介した通りです。

最終比較の場面でも、今の勤務先とB社に、研修の期間や内容について同じ質問を投げかけて回答を比べました。今の勤務先の回答は、期間・内容・メンター制度まで具体的だった点も含めて、「未経験歓迎」のIT求人で確認すべき5つのことで紹介した内容と同じ会社によるものです。一方でB社は「配属先のチーム次第で変わるので一概には言えない」という回答にとどまり、こちらから「たとえば直近で配属された未経験入社の方は、最初の1ヶ月どんな業務をしていましたか」と具体例を重ねて聞いても、担当者からは「ケースバイケースなので個別にはお答えできません」という返答しか得られませんでした。同じ質問をぶつけるだけでなく、さらに具体例を重ねて掘り下げてみることで、回答の温度差がより明確に見えてくると感じています。

1社だけの説明を聞いて判断するのではなく、比較している複数の会社に同じ質問をぶつけて、回答の具体性を横並びで比べることをおすすめします。

基準3:給与・勤務条件の説明が、求人票から内定通知書まで一貫しているか

3つ目の基準は、給与や勤務条件について、求人票・面接・内定通知書という3つの段階で説明が一貫しているかという点です。

理由は、固定残業代の有無や試用期間中の待遇など、求人票の記載だけでは分かりにくい条件が、面接や内定通知書の段階になって初めて明らかになることがあるからです。この点の詳しいチェック項目は別の記事でも紹介しています。

私自身、最終的に内定を受け取った際、求人票・面接で聞いていた金額と労働条件通知書の記載に若干の差があり確認の連絡を入れた経験は、IT求人票を見るときに絶対チェックしたい項目で紹介した出来事と同じ、今の勤務先とのやり取りです。このとき内訳を丁寧に説明してくれたことも、条件面での安心材料の1つになりました。B社についても、内定が出た段階で通知書の内容まで踏み込んで確認するつもりでいましたが、基準1・2の時点ですでに回答の曖昧さが重なっており、その後の面接でのやり取りでも懸念が解消されなかったため、B社側から正式な内定・労働条件通知書を受け取る前の段階で応募継続を見送る判断をしました。そのため、基準3については実際に条件を照らし合わせるところまで進まず、比較時点では確認できずに終わっています。

求人票の条件だけを見て安心せず、内定通知書を受け取った段階でもう一度、面接で聞いていた内容とのズレがないかを確認する姿勢が、この基準を満たしているかどうかの最終チェックになると感じています。

基準4:面接での回答から、離職率やプロジェクトの状況を隠さず話せる会社か

4つ目の基準は、離職率や現在のプロジェクトの状況といった、会社にとって答えにくいはずの質問に対して、どれだけ具体的に答えてくれるかという点です。

理由は、労働環境を把握し改善しようとしている会社ほど数字や具体的な取り組みを答えられる一方、実態を把握できていない、あるいは触れられたくない会社ほど答えが曖昧になりやすいと感じているからです。この基準の詳しい確認方法は以前の記事で紹介した通りです。

最終比較の段階で、今の勤務先とB社の両方に離職者数や退職理由について尋ねたところ、今の勤務先からの具体的な回答は、以前の記事で紹介したのと同じ会社によるものでした。一方でB社は「特に集計していない」という回答にとどまり、重ねて「体感でどれくらいの方が辞めているか教えてもらえますか」と聞いても、面接官が一瞬言葉に詰まり、最終的に「そこまで正確には把握していません」と話をそらされる形になりました。基準1・2の時点でB社への評価がすでに下がっていたところに、この回答の曖昧さと質問をかわされたときの反応が重なり、B社への応募継続を見送る決め手の1つになりました。

答えにくい質問への回答の具体性は、その会社が自社の労働環境をどれだけ把握・管理できているかを映す鏡のようなものだと感じています。

基準5:リモートワークや勤務地など、自分の生活リズムに合う働き方か

5つ目の基準は、リモートワークの可否・頻度や勤務地の変動が、自分の生活リズムやプライベートの時間に無理なく合うかという点です。

理由は、基準1〜4がすべて問題のない会社だったとしても、日々の働き方が自分の生活サイクルと合わなければ、長く働き続けることが難しくなってしまうからです。私は一人暮らしで生活費もすべて自分で支えている状況で転職活動をしていたため、通勤負担や勤務地の変動が収入や生活の安定に直結すると感じ、この基準を最後の決め手として重視していました。

今の勤務先は、求人票の「リモートワーク可」という表記の奥に、入社当初は出社中心で慣れてから段階的にリモートワークへ移行するという条件があり、これは以前の記事でも紹介した通りです。B社は「フルリモート」を掲げていたものの、基準1で確認した提携先への常駐の可能性についてさらに踏み込んで聞くと、「常駐が発生する期間は月の半分程度になることもある」という回答でした。一人暮らしの身としては、月の半分も常駐先の近くで生活するとなれば、今の部屋を引き払って一時的に引っ越しを検討する必要も出てきますし、生活リズムそのものが大きく崩れてしまうと感じました。基準1〜4がほぼ同等だったとしても、この基準5の違いが、最終的に今の勤務先を選んだ大きな理由の1つになっています。

働き方の希望は人によって異なりますが、一人で生活を支えている場合は特に、この基準を優先順位の中で低く見積もらない方がよいと感じています。

5つの基準を優先順位で整理する

ここまで紹介した5つの基準を、優先順位の目安とあわせて表で整理します。

優先度 基準 確認する場面 詳しく知りたいとき
1 雇用形態・契約形態の一致 求人票・最終面接での質問 SESの仕組み・自社開発と受託開発の違いを解説した記事
2 「未経験歓迎」の研修・配属の具体性 求人票の研修欄・面接での質問 「未経験歓迎」求人の確認ポイントを解説した記事
3 給与・勤務条件の一貫性 求人票→面接→内定通知書 求人票のチェック項目を解説した記事
4 離職率・プロジェクト状況への回答 面接での質問 ブラック求人を避けるポイントを解説した記事
5 自分の生活リズムとの適合 面接での質問・自分自身の希望との照らし合わせ –

優先度の数字は絶対的な正解ではなく、あくまで私が転職活動の中で実感した重み付けです。一人暮らしか実家暮らしか、間口の広さを優先したいかなど、状況によって基準5の優先度が上がる人、あるいは基準2の優先度が上がる人もいると思います。

基準同士が食い違ったとき、私はこう判断した

結論、基準同士が食い違ったときは、後から取り返しがつきにくい基準を優先し、条件面の魅力だけで判断しないようにしました。

理由は、給与や待遇のような数字で比較しやすい条件は魅力的に見えやすい一方、雇用形態の実態や面接での回答の誠実さといった基準は、入社後に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、比較の際に見過ごされやすいと感じているからです。

最終的に比較した今の勤務先とB社を、5つの基準に沿って簡単に振り返ると、次のようになります。

基準 今の勤務先 B社
基準1(雇用形態の一致) 求人票通り自社開発・受託開発、常駐は基本的になし 案件によって提携先への常駐の可能性あり
基準2(研修・配属の具体性) 期間・内容を具体的に説明 配属先次第と曖昧
基準3(条件の一貫性) 内訳の説明が丁寧 内定通知書の段階まで進まず未確認
基準4(離職率への回答) 具体的な人数と理由 集計していないと回答
基準5(生活リズムとの適合) 3ヶ月後から週1出社+リモート フルリモートを掲げるが実態は不安定

B社は選考スピードが速く、提示された給与額も今の勤務先よりわずかに高い水準でした。それでも、基準1・2・4という「後から確かめ直すのが難しい基準」で曖昧な回答が重なったこと、そして基準5という自分にとって譲れない基準でも不安が残ったことから、最終的に今の勤務先を選びました。給与の差だけを見れば迷う場面もありましたが、優先順位の高い基準から順に比べていくことで、比較的迷いなく決断できたと感じています。

この判断が誰にとっても正解というわけではありません。給与や成長環境を優先したい人にとっては、私とは違う結論になることも十分にあり得ると思います。大切なのは、条件の一部だけを見て決めるのではなく、自分の中で優先順位を決めた上で比較することだと感じています。

まとめ

ここまで、未経験IT転職で会社選びに失敗しないために私が実際に使った5つの基準と、その優先順位づけの考え方を紹介してきました。

  • 雇用形態・契約形態の一致、「未経験歓迎」の研修・配属の具体性、給与・勤務条件の一貫性、離職率・プロジェクト状況への回答、自分の生活リズムとの適合という5つの基準がある
  • すべての基準を完璧に満たす会社は少なく、基準同士が食い違う場面では、後から取り返しがつきにくい基準を優先することを意識する
  • 複数の候補を比較する際は、同じ質問を横並びで投げかけ、回答の具体性を比べることが判断材料になる

それぞれの基準の詳しい確認方法は、これまでの記事で個別に紹介しています。内定や候補が重なって決めきれないと感じたときは、この記事の5つの基準と優先順位を1つの物差しとして、自分なりの判断軸を整理してみることをおすすめします。

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