退職の罪悪感は消さなくていい?未経験からのIT転職で辞めた本音

キャリア・働き方

「今の会社を辞めたら、お世話になった人たちに申し訳ない」——IT業界への転職を考え始めたばかりの段階で、まだ転職活動すら始めていないうちから、こうした罪悪感に気持ちを止められてしまう方は少なくないのではないかと思います。「退職 罪悪感」で検索している方の中には、具体的な退職の手続きよりも先に、この漠然とした後ろめたさそのものをどう扱えばいいのか知りたいという方が多いのではないでしょうか。

私自身、文系・未経験からIT業界への転職を考え始めた当初、退職の伝え方や事務手続き以前に、この罪悪感とどう向き合うかで気持ちが止まってしまっていた時期がありました。退職を切り出す具体的な手順や引き継ぎの進め方については、以前の記事退職の伝え方は?気まずくならない未経験IT転職の引き継ぎ実務でも紹介していますが、この記事ではあえてそこには触れず、辞めることに対する「気持ちの整理」という心理面に絞って、私が感じていた罪悪感の正体と、その向き合い方を振り返っていきます。

この記事でわかること

  • 退職に罪悪感を抱くのは、なぜ自然な反応だと言えるのか
  • 私が感じていた罪悪感を分解すると、実際は何に対する感情だったのか
  • 罪悪感を抱えたまま、どうやって気持ちを整理して決断したか

そもそも、退職に罪悪感を抱くのは自然な反応だと感じている

結論から言うと、退職に罪悪感を覚えること自体は、特別でも不健全でもなく、多くの人が通る自然な反応だと考えています。

理由は、日本の職場では「育ててもらった恩」や「自分が抜けたあとに周囲へかかる負担」を意識しやすい空気があり、それを敏感に感じ取れる人ほど、辞めることに後ろめたさを覚えやすいからです。

私の場合、転職活動を始める前、まだ求人を検索することすらしていない段階で、「今の会社を辞めるかもしれない」と頭の中で考えるだけで、胸の奥がざわつくような感覚がありました。特に、右も左も分からなかった入社当初、根気強く仕事を教えてくれた先輩の顔が思い浮かぶと、素直に「辞めたい」と思うこと自体に抵抗があったのを覚えています。

罪悪感を抱くこと自体は、これまで真剣に働いてきたことの裏返しでもあり、無理に消し去ろうとする必要はないものだと、今は捉えています。

私が感じていた罪悪感の中身を分解すると、大きく3つあった

結論として、漠然とした一つの罪悪感に見えていたものは、実際には対象の異なる3つの感情が混ざり合ったものでした。

理由は、対象を分けずに「なんとなく申し訳ない」とひとまとめにしてしまうと、どこから気持ちを整理すればいいのか見えなくなってしまうからです。実際に自分の感情を書き出しながら整理してみると、次のように分けられました。

罪悪感の対象 具体的に感じていたこと 後から気づいたこと
一緒に働いていたチームの同僚 ちょうど大きめの案件を任されていた時期に抜けることへの申し訳なさ 一人が欠けても業務が回るように引き継ぐ仕組みを整えるのは、本来は会社側の役割でもあると考え直した
一から仕事を教えてくれた先輩・上司 手間をかけて育ててもらった恩を、その会社に居続ける形では返せないまま辞める後ろめたさ 恩は「居続けること」でしか返せないわけではなく、教わった仕事への向き合い方を次の場所で活かすことでも返せると考えるようになった
これまで積み上げてきた前職のキャリア IT業界とは無関係の分野で積み重ねてきた経験を、ゼロから作り直すような感覚への罪悪感 前職での経験がすべて無駄になったわけではなく、対人対応や文章でのやり取りといった部分が、実際の転職活動でも評価される場面があった

対象ごとに分けてみると、それぞれの罪悪感には「後から考え直せる余地」があることが見えてきました。ひとまとめのまま抱え続けていたら、こうした整理には辿り着けなかったと思います。

「自分の都合で辞めるのはわがままだろうか」という罪悪感

通勤の窮屈さや将来のキャリア・収入への不安、自分の時間や生活の自由度を大事にしたいという気持ちのように、自分のための理由だけで会社を辞めることに対しては、最初はどこか後ろめたさがありました。

「誰かのため」ではなく「自分のため」の決断を、わがままだと見なしてしまう感覚が、当時の自分の中に根強くあったからです。

この気持ちが少し変わったきっかけは、前職時代から付き合いのあった友人に、転職を考えている理由を打ち明けたときの会話でした。将来のキャリアへの不安や、今の働き方への窮屈さを話した私に対して、友人は「それって全然わがままな話じゃないと思うけど。自分の生活のことを真剣に考えてるだけでしょ」と返してくれました。当たり前のように言われたその一言で、自分の中で勝手に「わがまま」と決めつけていたことに、初めて気づかされた感覚がありました。

自分の生活や将来を優先して考えること自体は身勝手なことではなく、むしろ当然の権利だと捉え直せるようになったのは、この会話がきっかけだったと感じています。

罪悪感を抱えたまま、気持ちを整理するためにやったこと

私が実際にやったのは、「罪悪感があるかどうか」と「決断そのものが正しいかどうか」を、あえて切り離して考えることでした。

罪悪感が消えるのを待ってから決断しようとすると、いつまで経っても一歩を踏み出せないと気づいたためです。

具体的にやったことは、紙に「罪悪感を感じている理由」と「転職を決めた理由」を、別々の欄に書き出してみることでした。書き出してみると、罪悪感を感じている理由はすべて「周囲との関係」に関するもので、転職を決めた理由はすべて「自分自身の将来」に関するものだったことに気づきました。両者は性質の異なる話であり、片方があるからといって、もう片方の答えを変える必要はないのだと、紙に書き出したことで初めて実感できました。

罪悪感は消してから前に進むものではなく、抱えたまま一緒に連れて進んでいいものなのだと、この整理を通じて考えられるようになりました。

転職して働いている今、あの罪悪感をどう振り返っているか

今振り返ると、当時抱えていた罪悪感の多くは、実際に起きたこと以上に大きく見えていた杞憂だったというのが正直な実感です。

実際に退職を伝えて辞めてみると、心配していたほど周囲へ深刻な負担をかけた様子はなく、むしろ次のステップへ背中を押してくれる人の方が多かったためです。

退職を伝えたときに強く引き止められ、恩義のような感情で心が一瞬揺れた場面については、以前の記事強く引き止められても後悔しない!未経験IT転職、退職の断り方でも触れましたが、最終的には拍子抜けするほど穏やかに送り出してもらえました。退職から数ヶ月経った頃、当時のチームメンバーから「新しい仕事どう?元気にやってる?」と連絡をもらったこともあり、あれほど気に病んでいた申し訳なさは、少なくとも相手側にはそこまで重く受け止められていなかったのだと感じています。

ただし、これはあくまで自分の場合の話です。職場の状況や関係性によっては、退職後も罪悪感やモヤモヤが長く残る人もいると思うので、時間が経てば誰にでも同じように気持ちが軽くなると保証できるものではありません。

まとめ

ここまで、退職に対する罪悪感という心理面に絞って、私自身が感じていたことと、その向き合い方を振り返ってきました。

  • 退職に罪悪感を抱くこと自体は自然な反応であり、無理に消し去る必要はない
  • 罪悪感の中身は「同僚」「育ててくれた人」「積み上げてきたキャリア」など、対象ごとに分けて考えると整理しやすい
  • 自分のための理由で辞めることは、わがままではなく当然の権利だと捉え直してよい
  • 罪悪感の有無と決断の正しさを切り離して考えると、気持ちが止まったままにならずに前へ進める
  • 実際に辞めてみると、当時の罪悪感が杞憂だったと感じられることもある(ただし全員に当てはまるとは限らない)

罪悪感があるからといって、その決断が間違っているとは限りません。まずは自分がどんな対象に、なぜ後ろめたさを感じているのかを一度言葉にしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。気持ちの整理が少しついてきたら、実際の退職の伝え方や手続きについても、あらためて具体的に調べてみることをおすすめします。

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