転職先から内定をもらい、退職を決めたとたんに、頭の中には「上司にどう伝えよう」「引き継ぎは間に合うだろうか」という不安が真っ先に浮かぶのではないでしょうか。ただ、いざ退職日が近づいてくると、それとは別に「健康保険はどうなるんだろう」「年金の手続きはいつまでにすればいいんだろう」という、地味だけれど期限のある事務手続きが山のように出てきて、何から手をつければいいのか分からなくなることがあります。
私自身、文系・未経験からIT業界へ転職した際、退職の伝え方や引き継ぎのことで頭がいっぱいになり、事務手続きの存在をすっかり後回しにしていました。結果的に、健康保険や年金の手続きには期限があることを直前になって知り、慌てて調べる羽目になった経験があります。在職中に転職活動を続けるかどうかで迷っていた時期のことは焦って辞めない!在職中に転職活動するか迷った私の判断基準でも触れているので、あわせて参考にしてみてください。この記事では、退職の伝え方や引き継ぎの進め方(この点は転職後悔しないために!未経験IT転職でやってはいけない5つのことでも軽く触れています)には触れず、実際に私が退職前後に行った保険証の返却・健康保険と年金の切り替え・離職票の受け取り・住民税の手続きといった「事務手続き」だけに絞って、時期の目安とあわせて紹介します。
この記事でわかること
- 退職前後の事務手続きを、時系列でどう整理すればいいか
- 健康保険・年金・住民税・離職票について、私が実際にどう手続きしたか
- 最終出社日に慌てないために、事前に確認しておきたいこと
まず全体像:退職前後にやることを時系列で整理する
結論から言うと、退職前後の事務手続きは「退職前に会社と済ませておくこと」と「退職後に自分で役所やハローワークで行うこと」の2つに分けて考えると整理しやすいと感じています。
理由は、会社を通す手続きと、自分で役所に出向く手続きとでは、必要な書類も期限も窓口もまったく異なるためです。混ぜて考えてしまうと「これは誰が、いつまでにやるものなのか」が分からなくなり、手続きの抜け漏れにつながりやすくなります。
私は、退職を決めた段階で会社の総務担当者から一枚の案内文書を渡され、そこに書かれていた項目に加えて、自分でも調べて気づいた項目(国民年金の種別変更や住民税の手続きなど)を書き足し、次のような一覧にまとめてから動き始めました。
| 時期 | やること | 期限の目安 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 退職前 | 健康保険証・社章・名刺・貸与物の返却準備 | 最終出社日まで | 会社 |
| 退職日 | 健康保険証の返却、源泉徴収票などの受け取り確認 | 最終出社日 | 会社 |
| 退職後速やかに | 健康保険の切り替え(任意継続 or 国民健康保険) | 任意継続は20日以内、国民健康保険は14日以内が目安 | 健康保険組合 または 市区町村役場 |
| 退職後速やかに | 国民年金の種別変更(厚生年金→国民年金) | 14日以内が目安 | 市区町村役場 |
| 退職後1〜2週間ほど | 離職票の受け取り | 会社の手続き完了後に郵送 | 会社から自宅へ郵送 |
| 入社前後 | 住民税の徴収方法の確認・切り替え | 退職時期・会社の案内による | 会社(前職・転職先) |
あくまで私自身が経験した範囲での目安であり、期限や必要書類は自治体や会社によって細かい違いがあります。正確な期限は、お住まいの市区町村や会社の総務担当者に確認することをおすすめします。
健康保険の切り替え:任意継続と国民健康保険、私が比較して選んだ方法
私が最初につまずいたのは、健康保険をどちらに切り替えるかという選択でした。私が選んだのは、国民健康保険に新しく加入する方法です。
理由は、転職先の入社日が前職の最終出社日から3週間ほど後に設定されており、その間は会社の健康保険を使えない空白期間ができていたためです。空白期間があっても保険証なしで過ごすわけにはいかないので、これまでの健康保険を任意継続するか、国民健康保険に新しく加入するかのどちらかを選ぶ必要がありました。
まず、前職の健康保険組合に任意継続した場合の保険料を問い合わせたところ、在職中は会社が半分負担してくれていた分もすべて自分で支払う金額を提示されました。次に、市区町村の窓口で国民健康保険に加入した場合の見込み保険料も聞き、両方の金額を比較したうえで、自分の場合は国民健康保険の方が支払う金額が少なく済む見込みだったため、そちらを選んでいます。
保険料は前年の所得や自治体によって計算方法が変わるため、どちらが安くなるかは人によって違います。断定はできませんが、空白期間がある場合は、両方の見込み金額を実際に問い合わせて比較しておくと安心だと感じました。
年金の切り替え:厚生年金から国民年金への手続き
厚生年金から国民年金への切り替えについて、私が実際に行ったのは、退職後14日以内に住んでいる市区町村役場で国民年金の種別変更(第2号被保険者から第1号被保険者への変更)手続きを済ませることでした。
理由は、厚生年金は会社に勤めている間しか加入できず、退職と同時に資格を失うため、転職先に入社するまでの空白期間分は自分で国民年金に加入する必要があったからです。
実際に窓口へ行った際、退職日が分かる書類(離職票または退職証明書)を持参する必要があると知らず、年金手帳とマイナンバーカードだけを持って行ってしまい、一度手続きができずに帰ることになりました。翌日、前職の総務担当者に頼んで退職証明書を発行してもらい、改めて窓口に行って手続きを済ませています。
窓口での手続き自体は、必要書類さえそろっていれば10分ほどで終わり、想像していたよりも身構えずに済みました。書類の不足だけは事前に確認しておくと、二度手間を防げると感じています。
離職票の受け取りと、転職先が決まっている場合の使い道
離職票は、退職日にすぐ渡されるものではありませんでした。私の場合は、退職後1〜2週間ほど経ってから、ようやく自宅に郵送で届いています。
理由は、会社がハローワークに離職の手続きを行い、そこで交付された離職票が会社から本人へ転送される流れになっているため、即日発行はできない仕組みになっているからです。
最終出社日に総務担当者から「離職票は10日前後で届くと思います」と説明を受けました。私はすでに転職先が決まっていたため、失業給付の申請でハローワークに提出する予定はありませんでしたが、担当者からは「決まっていても念のため保管しておいてください」と言われ、届いた離職票はそのままファイルに保管しています。
次の転職先が決まっている場合は失業給付を利用する場面が少ないため、離職票の扱いを軽く考えてしまいそうになりますが、届くまでに時間がかかることは覚えておくとよさそうです。
住民税の手続き:一括徴収と普通徴収、どちらを選んだか
住民税の手続きでは、最終給与からの一括徴収ではなく、普通徴収(自分で納付書払いする方法)に切り替えるという方法を私は選びました。
理由は、退職する月によって選べる方法が変わるうえ、最終給与からまとめて天引きされると手取り額が大きく減ってしまうため、自分の場合はそのタイミングを避けたいと感じたからです。
退職の手続きを進める中で、総務担当者から「残りの住民税を最終給与から一括で天引きするか、それとも普通徴収に切り替えて自分で納付書を使って支払うか」を聞かれました。最終出社月の給与を目減りさせたくなかったので、普通徴収を選び、後日届いた納付書で支払っています。転職先に入社してからは、あらためて給与天引き(特別徴収)に戻す手続きを新しい会社の総務にお願いしました。
一括徴収の方が手続きの手間は少ないと感じましたが、最終給与の手取りをどれだけ確保しておきたいかによって、選ぶ方法は人それぞれ変わってくると思います。
会社に返却するもの・受け取る書類の最終チェック
最終出社日に慌てないために私が役立ったと感じたのは、返却するものと受け取るものを事前にリスト化しておくことでした。
理由は、最終出社日は挨拶や引き継ぎの対応に追われて時間が取りにくく、返却物・受け取る書類の確認を後回しにすると、うっかり漏れが出やすくなるためです。
私は最終出社日の1週間ほど前に、総務担当者から返却物・受け取る書類の一覧をもらい、事前に手元でチェックしておきました。それでも、名刺入れの奥にしまい込んでいた前職の名刺を数枚返し忘れてしまい、後日自宅から郵送で返却する羽目になっています。
| 区分 | 主なもの |
|---|---|
| 会社に返却するもの | 健康保険証、社章、名刺、社員証、貸与されたパソコン・スマートフォン、業務資料 |
| 会社から受け取るもの | 源泉徴収票、雇用保険被保険者証(会社預かりの場合)、年金手帳(会社預かりの場合)、離職票(後日郵送) |
会社によって預かっている書類・返却物は異なるため、最終出社日より前に一度リストにして、総務担当者とすり合わせておくと安心です。
退職の伝え方や引き継ぎの進め方は退職の伝え方は?気まずくならない未経験IT転職の引き継ぎ実務、強く引き止められたときの対応は強く引き止められても後悔しない!未経験IT転職、退職の断り方、有給休暇の消化交渉は有給は消化できる?未経験IT転職で実践した円満退職の進め方、退職代行サービスを使うかどうかの検討は退職代行は使うべき?未経験からのIT転職で検討した本音と判断基準でそれぞれ詳しく取り上げています。ここで紹介したのは、あくまで保険・年金・税金まわりの事務手続きに絞った内容になります。
まとめ
ここまで、私が実際に行った退職前後の事務手続きを、時期の目安とあわせて紹介してきました。
- 健康保険は、空白期間の有無に応じて任意継続と国民健康保険の見込み保険料を比較してから選ぶ
- 厚生年金から国民年金への切り替えは、退職後14日以内を目安に必要書類をそろえてから窓口へ行く
- 離職票は退職後1〜2週間ほどかかることがあり、転職先が決まっていても保管しておく
- 住民税は一括徴収と普通徴収のどちらを選ぶかで、最終給与の手取りが変わる
- 会社への返却物・受け取る書類は、最終出社日より前にリストで確認しておくと漏れを防ぎやすい
事務手続きは地味に感じるかもしれませんが、期限が決まっているものが多いため、退職を決めた段階で早めに全体像を把握しておくと、最終出社日までを落ち着いて過ごしやすくなると感じています。


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