「退職理由 伝え方」と検索している方は、面接が近づくにつれて「本音をそのまま話していいのか、それとも当たり障りのない言葉で濁すべきか」で悩んでいるのではないでしょうか。前の職場への不満をそのまま口にすれば愚痴っぽく聞こえてしまいそうですし、かといって取り繕いすぎた言葉では自分でも説得力を感じられません。私自身、面接の前日まで同じところで足踏みしていました。
面接全体でよく聞かれる質問や答え方の基本については、未経験からのIT転職、面接で本当に聞かれた質問と答え方のコツで紹介していますが、この記事では「退職理由をどう言葉にするか」という1つの質問に絞って、私が本音をどう変換し、実際に何と話したのかを具体的にお伝えします。在職中に転職活動を進めるべきか先に辞めるべきかという意思決定の話は、焦って辞めない!在職中に転職活動するか迷った私の判断基準で扱っているので、ここでは触れません。
この記事でわかること
- 本音をそのまま話さなかった理由と、その判断基準
- 実際に面接で使った退職理由の伝え方(本音からの変換例つき)
- 深掘りで突っ込まれたときに、どう切り返したか
退職理由を聞かれて、最初に感じた「本音は言えない」というジレンマ
私の本音をそのまま話すことは、面接対策を始めた早い段階でやめる決断をしました。理由は、本音の中身が前職への不満そのものだったからです。
当時の私が抱えていた本音は、大きく2つありました。1つは、毎朝の満員電車での通勤が心身ともに負担になっていたこと。もう1つは、日々の業務の進め方がほとんど上司の判断待ちで、自分の裁量で決められる範囲がほとんどなく、この先何年働いてもその状況が変わらないのではという将来への不安でした。どちらも嘘ではなく、転職を考え始めた本当のきっかけです。
ただ、この2つをそのまま面接で話すと、「通勤がつらかった」「上司に不満があった」という他責的な印象になりかねないと感じました。面接官が知りたいのは不満の中身そのものではなく、「その不満を踏まえて、この人はどう考え、どう動いたのか」だろうと考え、本音をそのまま伝えることは避ける方向に決めました。
本音をそのまま伝えなかった理由と、言葉に変換した基準
最終的に私が行き着いたのは、「事実と違うことは言わない」という一線だけは守りつつ、事実の中から何を強調するかを自分で選ぶという考え方でした。
きっかけは、転職活動で利用していたエージェントに面接前の想定問答を見てもらった際、退職理由の答え方についてはっきりと指摘を受けたことでした。「前職の環境そのものを否定する話し方をすると、たとえ事実でも面接官には愚痴として伝わりやすい。その環境の中で自分が何に気づき、何を求めるようになったのかという話に変えたほうが、同じ事実でも伝わり方が変わる」という助言をもらいました。これはあくまで私が実際に相談したエージェント個人の見解であり、すべての面接官に当てはまる保証ではありませんが、自分の中では納得のいく基準になりました。
この助言をもとに、私は「不満の対象(会社や上司)」を主語にした話し方をやめ、「自分の意向」を主語にした話し方に統一することにしました。次の見出しで、実際にどう変換したかを具体的に紹介します。
実際に使った退職理由の伝え方(本音からの変換例)
面接で実際に話していたのは、本音そのものではなく、本音の奥にある「今後どうありたいか」という部分だけでした。
理由は、そうすることで事実に反することを言わずに済み、なおかつ前職への不満を強調せずに退職理由を説明できると感じたためです。実際に私が使っていた変換のパターンは、次のとおりです。
| 心の中にあった本音 | 面接で実際に話した言葉 | 変換のポイント |
|---|---|---|
| 満員電車での通勤が心身ともに負担だった | 「働く場所や時間の使い方に、もう少し柔軟性がある環境に魅力を感じるようになった」 | 通勤そのものへの不満ではなく、働き方の制度面への関心として言い換えた |
| 業務の進め方の裁量がほとんどなく、指示を待つ日々が続いていた | 「自分の判断で手を動かし、その結果に責任を持てる仕事に挑戦したいと考えるようになった」 | 会社や上司を主語にせず、自分がどうしたいかを主語にして話した |
| この先も同じ会社にいて成長できるのか不安だった | 「長期的に自分の市場価値を自分の手で伸ばしていける環境に身を置きたいと考えた」 | 「不安」という感情語を、前向きな意欲を示す言葉に置き換えた |
ある面接では、これらを組み合わせて「前職では業務の進め方についての裁量が限られており、その中で、自分が本当に力を発揮できる働き方は何だろうと考えるようになりました。IT業界であれば、自分の手を動かして成果に責任を持てる範囲が広いと感じ、環境を変える決断をしました」という形で話しました。面接官からは「なるほど、前向きな理由なんですね」という反応をもらえたことがあり、変換した言葉のほうが伝わりやすいと実感した場面でした。
深掘りで突っ込まれたときの切り返し方
深掘りされた場合も、個人や特定の出来事を名指しで批判せず、「組織の仕組み」の話として答えるように徹していました。
抽象的な理由だけで終わらせると「本当のところは何かあったのでは」と勘繰られる可能性があると感じたためです。ある面接で、「具体的に、どんな場面で裁量がないと感じたのですか」とかなり踏み込んで聞かれたことがありました。
そのとき私は、「ちょっとした業務の進め方を変えるだけでも、複数段階の承認を経る必要があり、決定までに数日かかることが度々あった」という具体的な場面を話しました。ただし、その承認フローを特定の上司の性格や能力の問題として語るのではなく、「組織としての意思決定の仕組みがそうなっていた」という構造の話にとどめました。特定の個人名や部署名を出して批判することは、最後まで一度もしませんでした。面接官はその説明にうなずいて、それ以上は突っ込んでこなかったので、個人攻撃にならない範囲で具体性を出せたことが良かったのだと感じています。
「本音を隠す」と「嘘をつく」の境界線をどう考えたか
私が自分に課していたルールは、「事実と違うことは絶対に言わない。ただし、事実のうちどれを話すかは自分で選んでいい」というものでした。
理由は、退職理由の伝え方を工夫することと、面接官を欺くことの間には明確な違いがあると考えていたからです。例えば、実際にはそこまで良好とは言えなかった前職の人間関係について「人間関係は良好でした」と聞かれてもいないのに自分から言うようなことはしませんでした。それは事実と異なる可能性があり、後から矛盾が出るリスクもあると感じたためです。
一方で、「なぜ辞めるのか」という質問に対して、不満よりも今後の意向を中心に話すことは、事実を曲げることとは違うと考えていました。転職を考えたきっかけには不満もありましたが、そのきっかけを経て「こういう環境で働きたい」と思うようになったこともまた事実だったからです。どちらも本当のことである以上、面接という場でどちらを中心に据えて話すかは、話し手である自分が選んでいい範囲だと考えるようにしていました。この基準を自分の中に持てたことで、退職理由を話すときの迷いはかなり減りました。
まとめ
ここまで、未経験からのIT転職で私が実際に使った、退職理由の伝え方を紹介してきました。
- 本音(通勤の負担・裁量のなさ・将来への不安)をそのまま話すと、他責的な印象になりかねないと感じ、伝え方を変えた
- 会社や上司を主語にせず、自分がどうありたいかを主語にして話すようにした
- 深掘りされた場合は、個人を批判せず「組織の仕組み」の話として具体性を出した
- 事実と違うことは言わないという一線を守りつつ、事実の中から何を強調するかは自分で選んでよいと考えた
これで必ず好印象を持ってもらえるとは限りませんし、面接官によって受け取り方が変わる部分もあると思います。それでも、本音を否定せずに言葉だけを整えるという考え方は、退職理由に限らず面接全般で使える視点かもしれません。


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