「IT業界 職種」と検索してこの記事にたどり着いた方は、転職サイトや求人票を眺めているうちに、プログラマー、SE、インフラエンジニア、社内SE、ITコンサルタントと、聞き慣れない職種名が次々に出てきて、そもそもIT業界全体にどんな仕事があるのか、まだ全体像がつかめていない状態かもしれません。
私自身、転職活動を始めたばかりの頃はまさに同じ状態でした。求人サイトを開くたびに違う職種名の求人が表示され、しかも会社によって同じ職種名でも仕事内容が微妙に違っていて、「結局IT業界にはどんな種類の仕事があって、自分はどのあたりに興味があるのか」を整理できないまま、なんとなく求人を眺めるだけの時間が続いていました。
この記事では、そのときに自分なりに整理した内容をもとに、IT業界の職種を大きな系統に分けて全体像を紹介します。「どの職種が未経験者におすすめか」という選び方の話ではなく、あくまで「IT業界にはどんな仕事があるのか」という地図を描くことに重点を置いてお伝えします。
この記事でわかること
- IT業界の職種を整理するときに役立つ2つの視点
- IT業界の職種を大きく6つの系統に分けた全体像
- 各系統にどんな職種が含まれ、未経験からの採用のされやすさがどう違うか
職種を整理するときに役立つ2つの視点
IT業界の職種は数が多く名前も似ているため、一つひとつ個別に覚えようとすると混乱しやすいものです。私は転職活動の初期に、「工程」と「対象」という2つの視点で整理すると理解しやすいと感じました。
「工程」とは、システムやサービスが完成するまでの流れの、どの部分を担当するかという視点です。要件をまとめる上流工程から、設計、開発・実装、テスト、そして完成後の運用・保守まで、担当する範囲によって職種名が変わります。「対象」とは、その仕事が自社のサービスや社内向けのシステムを対象にしているのか、それとも別の企業(クライアント)から依頼されたシステムを対象にしているのか、という視点です。
私は転職活動を始めた頃、求人票に出てくる職種名をノートに書き出し、それぞれがこの「工程」と「対象」のどのあたりに位置するかを自分なりにメモしていったことがあります。この作業をしてから、「同じプログラマーという肩書きでも、上流の設計寄りの仕事なのか、実装だけを担当する仕事なのか」といった違いに気づけるようになり、求人票を読むときの解像度が上がりました。
以下では、この2つの視点を踏まえながら、IT業界の職種を6つの系統に分けて紹介します。
系統1:開発・エンジニア系の職種(サービスやシステムを作る)
1つ目は、プログラマー、システムエンジニア(SE)、Webエンジニア、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアといった、システムやサービスそのものを作る仕事です。IT業界と聞いて最初にイメージする人が多い系統ではないかと思います。
この系統は、要件定義・設計を主に担う仕事から、実装(プログラミング)を主に担う仕事まで幅が広く、同じ「エンジニア」という肩書きでも、会社によって任される工程の範囲がかなり異なります。
実際に私が転職活動で求人を比較していたとき、ある求人では「Webエンジニア」の募集要項に「フロントエンドからバックエンドまで一気通貫で担当」と書かれていた一方、別の求人では「Webエンジニア」という同じ肩書きでも実際はフロントエンドの実装のみを担当する、という会社もありました。今は自社開発・受託開発を行う会社でWebエンジニアとして働いていますが、プロジェクトによって要件定義に近い部分から関わることもあれば、決められた仕様に沿って実装だけを進めることもあり、この系統の仕事の幅の広さを日々感じています。
未経験者向けの学習教材やスクールが充実しており、独学でも学習の入り口を見つけやすい系統でもあります。
系統2:インフラ・基盤系の職種(システムを支える)
2つ目は、サーバー、ネットワーク、クラウド環境など、システムの土台を作り支えるインフラエンジニア、ネットワークエンジニア、クラウドエンジニアといった職種です。
この系統も、決められた手順に沿って状況を確認する運用・監視の仕事から、ゼロから基盤を設計・構築する仕事まで幅があり、後者になるほど専門知識と実務経験が求められる傾向があります。
転職活動中、私はインフラ系の求人もいくつか見ていましたが、「AWS認定資格保有者歓迎」「ネットワーク関連の実務経験3年以上」といった条件がついた求人も少なくなく、同じインフラ系でも未経験からいきなり挑戦できる求人と、実務経験がないと応募自体が難しい求人が混在していると感じました。一方で、運用・監視業務からスタートする求人には未経験者歓迎の条件がついているものも多く見つかりました。
インフラ・基盤系は、担当する範囲によって未経験からの挑戦しやすさが大きく変わる系統だと感じています。
系統3:運用・保守や社内SE系の職種(安定稼働と社内のITを守る)
3つ目は、すでに稼働しているシステムを安定して動かし続けるための、運用・保守の仕事や、自社の情報システムを管理する社内SEです。
新しいものを作る「開発」に対して、この系統は「守る・維持する」ことが役割の中心になります。障害が起きないように監視し、起きたときには対応し、社内の従業員が使うパソコンやシステム環境を整備するといった仕事です。
私は現在リモートワークで働いていますが、社用パソコンの設定やVPN接続のアカウント発行など、社内のIT環境まわりのやり取りは社内の情報システム部門(社内SE)を通して行っています。以前、自宅から社内システムに接続できないトラブルが起きたとき、チャットで問い合わせてから短時間で原因を特定し対応してもらったことがあり、開発の仕事とは違う形で会社のIT環境を支えている存在だと実感しました。
社内SEは、対象こそ運用・保守と同じ社内向けですが、任される工程が要件のとりまとめから運用まで一気通貫になりやすく、会社の業務やシステム全体を理解したうえで各部署と調整する役割を求められる場面が多いため、未経験からいきなり採用されるケースは他の系統に比べて限られる傾向があります。社内SEの仕事内容や、未経験転職で確認しておきたいポイントについては、社内SEとは?仕事内容と未経験転職で確認したいポイントで詳しく紹介しています。
系統4:サポート・ヘルプデスク系の職種(利用者に寄り添う)
4つ目は、社内外からのIT関連の問い合わせに対応するITヘルプデスク、テクニカルサポート、カスタマーサクセスといった職種です。
この系統は、システムを新しく作る「開発」の工程よりも、すでに動いているシステムを利用する人に対応する、いわば工程の下流にあたる仕事です。対象も社内(社内ヘルプデスク)・社外(カスタマーサポート)の両方にまたがっており、上流の設計や実装に関わる専門知識をゼロから積み上げていなくても、目の前の利用者と向き合う中で少しずつ知識を広げていける求人が比較的多い系統だと感じています。
私が転職活動をしていたとき、社内SE志望で応募した企業の中には、面接で「まずはヘルプデスク業務からスタートし、社内システムの理解が深まった段階で社内SE業務に移行していく」という採用の流れを説明された会社もありました。サポート系の仕事は、それ単体で完結する職種であると同時に、他の系統へのステップとしても位置づけられていることがあると知った出来事です。
系統5:企画・マネジメント系の職種(プロジェクトを動かす)
5つ目は、ITコンサルタント、プロジェクトマネージャー(PM)、プロダクトマネージャー、プリセールスといった、システム開発のプロジェクト全体を計画し進行を管理する職種です。
技術力そのものよりも、スケジュール管理、関係者間の調整力、業務知識が重視されることが多く、エンジニアとしての実務経験を積んだ人がキャリアアップとして目指すケースが多い系統だと感じています。
私が今のチームで働く中でも、PMがクライアントとの要件のすり合わせやスケジュールの調整を行い、その内容をもとに開発チームへタスクが振り分けられる、という流れを日常的に目にしています。リモートワークで働いているため、PMとのやり取りはオンライン会議やチャットが中心ですが、開発の現場にいるとPMの仕事がプロジェクト全体の進行を左右していることがよくわかります。未経験からいきなりこの系統を目指すのは難易度が高い印象ですが、エンジニアとして経験を積んだ先のキャリアの選択肢として知っておく価値はあると思います。
系統6:デザイン・データなど専門特化系の職種
6つ目は、Webデザイナー、UI/UXデザイナー、データサイエンティスト、セキュリティエンジニアといった、特定の専門分野に特化した職種です。
このブログでは主に開発・インフラ・運用系の未経験転職を中心に扱っているため、この系統について深くは掘り下げませんが、IT業界の職種の全体像を知る上で外せない存在なので簡単に触れておきます。
私が働くチームにもUI/UXデザイナーが在籍しており、画面のデザインをFigmaというツールでまとめたものを共有してもらい、それをもとに実装を進める、という流れで日々連携しています。専門特化系は、それぞれの分野に特化した学習・実績が求められることが多く、未経験からの入り口としては開発・インフラ・サポート系に比べてハードルが高い傾向がある、というのが実際にやり取りをしてきた中での印象です。
6つの系統を一覧で比較すると
ここまで紹介した6つの系統を、私が転職活動や実際の業務を通じて感じた範囲で整理すると、次のようになります。あくまで一般的な傾向であり、企業や求人によって差がある点にご注意ください。
| 系統 | 代表的な職種 | 主な役割 | 未経験からの採用のされやすさ |
|---|---|---|---|
| 開発・エンジニア系 | プログラマー、SE、Webエンジニア | システムやサービスを作る | 比較的されやすい(会社・工程による) |
| インフラ・基盤系 | インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、クラウドエンジニア | サーバー・ネットワークなど基盤を支える | 運用・監視は多い、構築・設計は少なめ |
| 運用・保守/社内SE系 | 運用・監視オペレーター、社内SE | システムの安定稼働、社内IT環境の整備 | 運用・監視は多い、社内SEは少なめ |
| サポート・ヘルプデスク系 | ITヘルプデスク、テクニカルサポート | 利用者からの問い合わせ対応 | 多い |
| 企画・マネジメント系 | ITコンサルタント、PM、プロダクトマネージャー | プロジェクトの計画・進行管理 | 少ない(実務経験が求められやすい) |
| デザイン・データなど専門特化系 | Webデザイナー、UI/UXデザイナー、データサイエンティスト | 専門分野に特化した設計・分析 | 職種・専門性による |
まとめ
ここまで、IT業界にどんな仕事があるのか、6つの系統に分けて全体像を紹介してきました。
- 職種は「工程(上流〜下流)」と「対象(社内向けか社外向けか)」という2つの視点で整理すると理解しやすい
- 開発・エンジニア系はIT業界の中心的な系統で、未経験者向けの学習教材も充実している
- インフラ・基盤系は担当範囲によって未経験からの挑戦しやすさが大きく変わる
- 運用・保守/社内SE系は「作る」より「守る・維持する」ことが役割の中心
- サポート・ヘルプデスク系は未経験からの間口が広く、他の系統へのステップにもなり得る
- 企画・マネジメント系やデザイン・データなど専門特化系は、実務経験や専門性が求められやすい
まずはこうした全体像をつかんだ上で、興味を持てそうな系統や職種が見つかったら、その職種の仕事内容や、未経験からの挑戦しやすさをもう少し詳しく調べてみることをおすすめします。「結局どの職種を狙えばいいのか」を具体的に知りたい場合は、未経験からIT転職するなら狙いたい職種5選もあわせて参考にしてみてください。

