「リモートワークになれば、通勤もなくなるし、もっと自分のための時間を持てるようになるはず」——IT業界への転職を考え始めたとき、私自身もそんなイメージを漠然と抱いていました。ただ同時に、「本当にそんなに良いことばかりなのだろうか」「実際に働いている人はどう感じているのだろう」という半信半疑な気持ちもありました。
文系・未経験からIT業界に転職し、Webエンジニアとして働き始めてから、入社後しばらくは出社中心でしたが、今では週1回の出社とリモートワーク中心の働き方になっています。実際に経験してみて感じたのは、想像していた通りのメリットもあれば、転職前には考えもしなかった大変さもあったということです。この記事では、1日のスケジュールといった具体的な話には深入りせず(別の記事で詳しく紹介しています)、「リモートワークという働き方そのもののメリット・デメリット」という総論に絞って、正直な実感をお伝えします。
この記事でわかること
- 転職前にイメージしていた「楽になること」と、実際に感じたことの違い
- リモートワークで実感した5つのメリット
- 正直に感じているデメリット・大変な点
- どんな人にリモートワークが向いていると感じるか
転職前に想像していた「楽になること」と、実際に感じたこと
結論から言うと、転職前に思い描いていたイメージと、実際に働いてみて感じたことには、重なる部分もあれば、想像とは違った部分もありました。
理由は、「リモートワーク=自由で楽」という漠然としたイメージだけを持っていて、その自由をどう使うかまでは考えていなかったためです。実際に働き始めてから気づいたギャップを、表にまとめます。
| 転職前に想像していたこと | 実際に感じたこと |
|---|---|
| 通勤がなくなれば、その分ゆっくり過ごせるはず | 浮いた時間は仕事の準備や家事に自然と使われることが多く、「暇になる」わけではなかった |
| 家にいる時間が増えれば、家事も自然と片付くはず | 意識して隙間時間に手をつけないと、家にいるだけでは家事は溜まっていく一方だった |
| 服装も生活リズムも自由になり、ゆるく働けるはず | 始業・終業のけじめは自分でつける必要があり、思っていたよりも自己管理が求められた |
| 人と顔を合わせなくて済む分、対人ストレスが減るはず | 雑談やちょっとした相談がしにくくなり、別の種類のストレスを感じることもあった |
ここからは、この表で触れた内容も含め、実際に感じているメリット・デメリットをそれぞれ具体的に紹介していきます。
メリット1:通勤にかかっていた心身の負担がなくなった
結論、リモートワークになって最も大きく変わったと感じるのは、通勤そのものにかかっていた心身の負担がなくなったことです。
理由は、通勤という行為自体に、時間だけでなく体力や気持ちの消耗も伴っていたと、リモートワークになってから初めて気づいたためです。
出社中心だった頃は、片道1時間ほどの通勤時間の中で満員に近い電車に揺られることが多く、雨の日には傘をさして駅まで歩くだけで身支度が崩れてしまうこともありました。電車が数分遅れただけで始業に間に合うか焦った経験も一度や二度ではありません。リモートワークになってからは、そうした「移動そのものによる消耗」がなくなり、始業前から気持ちに余裕を持って1日を始められるようになったと感じています。
メリット2:自分の判断で通院や用事に対応しやすくなった
結論、ちょっとした通院や役所の手続きなど、平日の日中にしか対応できない用事に、自分の判断で動きやすくなったこともメリットの一つです。
理由は、出社が前提だと、こうした用事のために半休や有給を取る必要があり、事前の調整が欠かせなかったためです。
先日、健康診断の再検査で平日の午前中に病院へ行く必要があったのですが、休憩時間の前後で時間を調整し、半休を取らずに済ませることができました。出社していた頃であれば、通院のためだけに半休を申請し、往復の移動時間も含めて半日近くを使っていたはずです。もちろん業務内容によっては調整できない日もありますが、こうした小さな用事に自分の裁量で対応できる場面が増えたのは、想像していた以上に助かっている部分です。
メリット3:自分に合う環境で仕事に集中できるようになった
結論、周囲の物音や人の動きに気を取られず、自分に合った環境で作業に集中できるようになったこともメリットだと感じています。
理由は、オフィスでは自分では選べない環境(周囲の話し声や電話の音、人の出入りなど)の中で作業する必要があったためです。
出社していた頃、近くの席で商談の電話が始まると、内容が気になって手が止まってしまうことがよくありました。今は、集中したい作業のときはノイズキャンセリングイヤホンをつけたり、逆に落ち着かないときは休憩を挟んで気分を切り替えたりと、自分に合ったやり方を選べるようになりました。特に、仕様を整理しながらコードを書くような集中力が必要な作業では、この違いを大きく感じています。
メリット4:通勤・身だしなみにかかっていたお金や時間の負担が減った
結論、通勤や身だしなみの準備にかかっていたお金と時間の負担が、以前より軽くなったと感じています。
理由は、出社が前提の生活では、スーツやシャツのクリーニング代、通勤用の靴、外での昼食代など、細かい出費が積み重なっていたためです。
正確な金額を比較して家計簿をつけていたわけではないので断定はできませんが、体感としては、クリーニングに出す頻度や外食の回数が自然と減り、負担が軽くなったと感じています。時間の面でも、身支度にかけていた時間が短くなり、その分を朝食をゆっくりとる時間に回せるようになりました。
メリット5:家事を隙間時間に分散できて、生活の質そのものが上がった
結論、家事を平日の隙間時間に分散できるようになったことで、生活のリズムそのものが整いやすくなったと感じています。
理由は、出社していた頃は帰宅時間が遅く、洗濯や掃除は結局休日にまとめてやるしかなく、食事も外食やコンビニで済ませることが多かったためです。
リモートワークになってからは、休憩時間に洗濯機を回す、始業前に軽く掃除機をかけるといったことができるようになり、休日に家事だけで半日近くつぶれてしまう感覚がかなり減りました。自炊の頻度も自然と増え、体調管理の面でも良い影響があったと感じています。すべての家事を平日に片付けられるわけではありませんが、休日にまとめて追われる形から、平日に少しずつ進める形に変えられたことは、想像していた以上に生活の質に関わる部分でした。
正直に感じている3つのデメリット
ここまで良かった面を中心に紹介してきましたが、「本音」というタイトルのとおり、大変だと感じている部分も正直にお伝えします。
1つ目は、雑談やちょっとした相談のハードルが上がったことです。出社していた頃は、隣の席や近くの席にいる同僚に「ちょっといいですか」と声をかけるだけで済んでいた相談が、リモートでは自分からチャットを送るという一手間を挟む必要があります。相手の作業を止めてしまうのではという遠慮から、送るタイミングを迷ってしまうことが今でもあります。結果的に、自分の中で考え込んでから連絡するまでの時間が長くなり、出社していた頃より解決までに時間がかかる場面が出てきました。
2つ目は、体を動かす機会が減り、運動不足を感じるようになったことです。通勤で歩いていた分の運動が生活からまるごとなくなり、気づけば肩こりや腰の張りを感じることが増えました。この経験をきっかけに、始業前や休憩時間に意識して近所を歩くようにするなど、自分から体を動かす機会を作る工夫が必要になったと感じています。
3つ目は、仕事と暮らしの境界を自分で作る必要があることです。この点は1日の過ごし方を紹介した別の記事でも触れていますが、休日にふと仕事用のチャットの通知が目に入り、気になって内容を確認してしまうことがありました。オフィスに行かない分、「仕事から離れる」という区切りを、通知設定や部屋の使い方など、自分の工夫で作らないといけないのだと実感しています。
リモートワークが向いていると感じる人・苦手に感じやすい人
結論、これまで紹介したメリット・デメリットを踏まえると、自己管理をしながら一人で作業を進めることに抵抗が少ない人ほど、リモートワークに向いていると感じています。
理由は、メリットの多くが「自分の裁量で時間や環境を選べること」に関わる一方、デメリットの多くが「自分で区切りやきっかけを作る必要があること」に関わっているためです。
| 傾向 | 特徴 |
|---|---|
| 向いていると感じる人 | 一人で集中して作業を進めるのが苦にならない/自分から連絡・相談するのに抵抗が少ない/仕事とプライベートの区切りを自分でつけられる |
| 苦手に感じやすい人 | 周囲に人がいる方がやる気が出る/相談ごとを言葉にして送るまでに時間がかかる/オンとオフの切り替えを場所の変化に頼りたい |
私自身、最初の数ヶ月は雑談のハードルの高さに戸惑いましたが、質問する内容を先にメモしてから連絡するなど、自分なりのやり方を見つけたことで、少しずつ苦手意識は薄れていきました。向き不向きは最初から固定されたものではなく、工夫次第で変わっていく部分もあると感じています。
まとめ
ここまで、未経験からIT業界に転職し、リモートワーク中心で働くようになった私が実感しているメリット・デメリットを、総論として紹介してきました。
- 転職前に想像していた「楽になること」と、実際に感じたことには重なる部分も違う部分もあった
- 通勤の負担軽減・用事への対応のしやすさ・集中できる環境・お金や時間の負担軽減・家事を隙間時間に分散できる生活の質の向上の5つを、メリットとして実感している
- 雑談や相談のハードル・運動不足・仕事と暮らしの境界づくりの3つは、正直に大変さを感じている部分
- 自己管理をしながら一人で作業を進めることに抵抗が少ない人ほど、リモートワークに向いていると感じる
リモートワークは、良いことばかりの働き方ではなく、自分から工夫しないと活かしきれない部分もある働き方だというのが、正直な実感です。1日の具体的な過ごし方は「リモートワークエンジニアの1日!出社時代との違いをリアルに紹介」で詳しく紹介しているので、あわせて読んでみてください。

