「エンジニア キャリアアップ」と検索している方の中には、これから未経験でIT業界を目指す段階の方だけでなく、すでに未経験からIT業界に転職して、「この先この仕事でちゃんと成長していけるのだろうか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。転職できるかどうかという悩みとはまた別に、働き始めてから初めて実感する「この先どうやってキャリアを伸ばしていけばいいのか」という悩みもあると思います。
私自身、文系・未経験からIT業界に転職し、Webエンジニアとして働き始めてから、この不安と何度も向き合ってきました。この記事では、入社前に何を勉強したかという話や、年収がどう変化したかという話には触れず(それぞれ別の記事で紹介しています)、「転職後、実際にどうやってキャリアを伸ばしてきたか」という時系列に絞って、実体験をもとに紹介します。
この記事でわかること
- 未経験スタートの私が、キャリアアップに不安を感じた具体的な瞬間
- 入社後、段階ごとに意識してきたこと
- スペシャリスト・ジェネラリストなど、これからのキャリアの方向性をどう考えているか
そもそも、未経験スタートで「この先大丈夫だろうか」と不安になった瞬間
結論から言うと、私が最初にキャリアアップへの不安を強く感じたのは、入社して数ヶ月経った頃のチームの振り返りミーティングでした。
理由は、実務経験者枠で採用されたメンバーが、新しく導入されたライブラリの話をチーム内ですらすらと説明しているのを聞いて、自分だけが会話についていけていないと感じたためです。
そのミーティングでは、聞いたことのない技術用語がいくつも飛び交い、相槌を打つことしかできませんでした。会議後にこっそり検索して意味を調べたのですが、「今の自分の理解度で、この先本当に差が縮まるのだろうか」という不安が、その日一日頭から離れませんでした。転職活動中に感じていた「採用されるかどうか」という不安とは違う、もっと長いスパンの不安を感じた出来事です。
未経験スタートの私が、キャリアアップのために意識した3つの段階
結論、この不安と向き合いながら、私はこれまで大きく3つの段階を意識して過ごしてきました。
理由は、一度にすべてを伸ばそうとすると、何から手をつければいいか分からなくなり、かえって足が止まってしまうと感じたためです。段階ごとに意識してきたことを、表で整理します。
| 時期 | 意識していたこと |
|---|---|
| 入社〜1年目 | 任された範囲の仕事を、一人で最後までやり切れるようになること |
| 1〜2年目 | 評価面談を使って、次に伸ばしたい範囲を自分の言葉にすること |
| 2年目以降 | これから深めていく専門性の方向性(スペシャリスト・ジェネラリスト)を考えること |
ここから、それぞれの段階で具体的に何をしたのか、一つずつ紹介していきます。
段階1:入社1年目、”できることを増やす”より先に”一人でやり切る”を目標にした理由
結論、入社してすぐの時期は、新しいスキルを次々に身につけることよりも、任された範囲の仕事を一人で最後までやり切れるようになることを最優先にしました。
理由は、土台となる基礎の実装スキルが不安定なまま手を広げようとしても、結局どこかでつまずき直すことになると、最初の数ヶ月で実感したためです。
入社直後、上司との最初の目標設定の面談で「最初から大きなキャリア像を描く必要はないので、まずは3ヶ月単位で小さな目標を一緒に決めましょう」と言われました。私が「早くいろいろな技術に触れたいです」と伝えたところ、「その気持ちは大事にしつつ、まずは今任せている画面の実装を、質問の数を減らしながら一人で終わらせられるようになることを目標にしてみましょう」と、具体的な目標に落とし込んでもらったのを覚えています。この面談をきっかけに、キャリアアップというと視野を広げることばかり考えていた自分の意識が、「今の範囲を確実にする」という方向に切り替わりました。
段階2:1〜2年目、評価面談を「次の目標を言語化する場」として使うようになった工夫
結論、1年ほど経ってからは、評価面談を単なる昇給・査定の場としてではなく、次に伸ばしたい範囲を自分の言葉で説明する場として使うようになりました。
理由は、面談で「昇給できるかどうか」だけを気にしていた時期は、面談が終わった後に「結局、次は何を頑張ればいいのか」があいまいなまま終わってしまうことが多かったためです。年収の推移そのものについては、「未経験エンジニアの年収は本当に上がる?実際の推移と正直な感想」で詳しく紹介していますが、ここでは面談の”使い方”という視点に絞ります。
入社してしばらく経った頃、「プログラマーとSEの違いを未経験者向けに解説」でも紹介した通り、小さな機能について自分から仕様を提案する場面が少しずつ増えてきていました。ただ、その機会はあくまで日々の業務の中で偶発的に生まれるもので、「次も同じように任せてもらえるか」は正直不透明なままでした。そこで1年目の評価面談で、「次の面談までに何を達成できたら、自分の中で納得感があるか」を先に書き出してから臨むようにし、「小さな機能であれば、仕様の相談段階から継続して関わりたい」という具体的な希望を上司に伝えました。その結果、次の四半期からは偶発的な機会ではなく、担当として仕様の相談に呼んでもらえる場面が増え、目標を先に言葉にしてから面談に臨むようになってから、面談の後に「次に何をすればいいか分からない」というモヤモヤが減ったと実感しています。
段階3:2年目以降、スペシャリストかジェネラリストか、方向性を考え始めた分かれ道
結論、2年目に差し掛かった頃、これから特定の技術を深く掘り下げていく方向と、複数の技術・工程を幅広く担当し続ける方向、どちらを目指すかを意識するようになりました。
理由は、上司との面談で「フロントエンドを重点的に深めたいか、それとも今のように画面まわりとサーバー側の両方に触れる形を続けたいか、どちらが希望に近いか」と聞かれ、その場では即答できなかったためです。
面談の後、その週末に前職からの友人と食事をした際にそのときの話をしたところ、「どっちが自分に向いているかより、今の働き方(リモートワーク中心で自分の生活リズムを保ちやすい働き方)を保ちながら選べる方でいいんじゃない」と言われ、自分の中になかった視点が一つ増えた感覚がありました。特定の技術を極める方向は魅力的に感じる一方、今は複数の技術に触れながら、自分の生活スタイルに合わせて働き方の柔軟性を保てる今の形を維持したいという結論に、今のところは落ち着いています。この判断がこの先もずっと変わらないとは思っていませんが、キャリアの方向性は「技術的にどちらが優れているか」だけでなく、生活全体とのバランスで考えるものなのだと気づいた出来事でした。リモートワーク中心の働き方で感じているメリットについては、「本当に楽になる?未経験エンジニアが実感したリモートワークのメリットと本音」でも紹介しています。
| 方向性 | 特徴 | 私が感じているメリット・注意点 |
|---|---|---|
| スペシャリスト | 特定の技術領域を深く掘り下げる | 専門性を強みにしやすい一方、その技術の需要が変化した際の影響を受けやすいと感じる |
| ジェネラリスト | 複数の技術・工程を幅広く担当する | 担当できる業務の幅が広がりやすい一方、突出した強みを説明しづらいと感じる場面もある |
未経験だからこそ意識している、実務に直結する学習習慣への切り替え
結論、転職前は基礎からじっくり順番に学ぶスタイルでしたが、働き始めてからは、直近の業務で出てきたわからない技術をピンポイントで調べるスタイルに切り替えました。
理由は、フルタイムで働きながら学習に使える時間が限られており、体系的にすべてを学び直す時間の余裕がなかったためです。
あるとき、チームで新しく導入することになったツールについて、公式ドキュメントを読み込み、休日の空き時間に検証環境で実際に触ってみたことがあります。次の定例ミーティングで気づいた注意点をチームに共有したところ、「先に触ってみてくれて助かった」と言ってもらえ、業務に直結する範囲を狙って学ぶスタイルの方が、今の自分の生活には合っていると実感しました。入社前の学習では基礎知識を広く浅く身につけることを優先しましたが、働き始めてからは「今の業務に一番近いところ」を優先する学び方に変わったというのが、正直な違いです。入社前にどう学習を進めていたかについては、「IT知識ゼロから転職するなら、最初に何を勉強する?」で詳しく紹介しています。
自分からレビューやフィードバックを求める姿勢が生んだ変化
結論、最初は指摘を受け止めるだけで精一杯でしたが、次第に自分から「他にもっと良いやり方があれば教えてください」とレビューをお願いするようになったことが、スキルの幅を広げるきっかけになりました。
理由は、指摘を待つだけの姿勢では、自分が気づいていない改善点にたどり着けないと感じるようになったためです。
入社して1年ほど経った頃、あるコードレビューで、自分では問題ないと思っていた書き方に対して「動くには動くが、後から読む人のことを考えるとこう書いた方が伝わりやすい」という指摘をもらったことがありました。それ以来、レビューを依頼する際に「特に気になる点があれば遠慮なく教えてください」と一言添えるようにしたところ、以前より踏み込んだ指摘をもらえる場面が増え、自分の書き方の癖に気づく機会も増えたと感じています。最近では、後から入社したメンバーのコードを確認する役割を任される場面も出てきて、指摘を受ける側から、指摘の理由を自分の言葉で説明する側にも少しずつ立場が変わってきました。
まとめ
ここまで、未経験スタートの私が、転職後にどうキャリアを伸ばしてきたかを、時系列に沿って紹介してきました。
- キャリアアップへの不安は、転職活動中よりもむしろ、働き始めてから実感する場面が多かった
- 入社1年目は「一人でやり切ること」、1〜2年目は「評価面談で目標を言語化すること」、2年目以降は「専門性の方向性を考えること」と、段階ごとに意識することを変えてきた
- 学習のスタイルも、入社前の体系的な学び方から、実務に直結する範囲を優先する学び方に変わった
- 自分からレビューやフィードバックを求める姿勢が、スキルの幅を広げるきっかけになった
本業の中でのキャリアアップとは別に、本業外でスキルを広げる挑戦についても興味がある方は、「本業にプラスできる?未経験エンジニアが副業に挑戦して感じたこと」もあわせてご覧ください。
未経験スタートだからといって、キャリアアップの道が閉ざされているわけではないというのが、ここまでの実感です。ただし、これは私自身の会社・環境での経験であり、同じ道筋がすべての人に当てはまるとは限りません。自分の状況に合わせて、段階ごとに小さな目標を積み重ねていくことが、遠回りに見えて着実な近道になるのではないかと感じています。

